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「インカムは何のためにあると思ってんだ」
「情報を共有しないのはなぜか」
「スマホの使い方わかってんのか」
「一人で突っ走るな」
「自分勝手な行動をするな」


ソファの上で正座をして彼是1時間。電気ショックを与えられたわけでもないのに足に力が入らない。


「ったく、所轄の時はどうしてたんだよ」

「…どうもしてませんよ。上が終わり良ければ総て良し精神だったのでそれに従ってただけで」
「上って…お前のいた部署はどうなってんだ」

良い場所でしたよ、とかいうと話が違うって言われそう。
黙ろう、もう逆鱗に触れないように。


「志摩ー、Aちゃんも反省してるじゃん。その辺にしてあげなよ。
 始末書の面倒さは俺が一番よくわかってるからさ」


伊吹さんに言われて思い出す。報告書と始末書と始末書と…
今日中に家に帰れるのだろうか。無理だな。悟りが開けそう


「でも本当に心配したんだよ?無線繋がらなくて、着いたと思ったら襲われる寸前だし」
「いや、
 はい、
 すみません」


志摩さんはため息をつくと「始末書書いてこい」といってやっと解放してくれた。


「次はないからな」

念を押すように言われたその一言に私はもう一度、すみませんでした。と謝った。





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やっと書き終わり始末書を本部に提出すると、時刻は19時過ぎを指していた。
外もすっかり暗い。


「お、嬢ちゃん始末書は書き終わったか?」

署の前で陣馬さんと404コンビに遭遇する。

「はい、なんとか…
 今提出してきました」

「え!ならAちゃんも飲みに行こうよ!!」


伊吹さんに手を掴まれて上下にブンブン振られる。
しつこさは健在だな、
今日は早く帰って眠りたいから断ろう。

「用事があるんで」と言って3人の背中を見送ると私は分駐所へ荷物を取りに戻った。




「あれ、九重さんはいかないんですか?」

「仕事じゃないので」

この人は相変わらずドライだな。苦笑いしながら横を通り過ぎて、ロッカーへ行く。


「Aさん」
「はい?」

「Aさんってなんで俺にまで敬語を使うんですか?」

思いがけない質問にキョトンとしてしまった。前に聞きたかった事ってこれかな。
……理由、理由か…
私大体誰にでも丁寧語は使うからな…


「…あ、階級上だからですかね」



納得がいったのかいってないのかはわからないけど「そうですか」とだけ返事をされる。



「じゃ、後はお願いします。お疲れさまでした」

「…お疲れ様です」




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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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