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「さっきのAちゃん凄かったね」
「あんなのいつ考えたんだよ」

「…4日前くらいですかね、
 纏まったのは伊吹さんが"またやる"って言った時ですけど」


会議終了後、もうお馴染みとなったメロンパン号で工業団地の周辺を徘徊していた。
彼らが通報をしない限り現行犯で捕まえられないから泳がせている。



「でも本当にまたやりますかね?」
「やるよ、必ず。

 …それにしてもさー“助けて”ってする役の女の子、どんな子かな?
 なんかさ、声がきゅるっとしてるよね。」

「あぁ、きゅるっとした女好きなんだっけ?」
「そう!覚えてた??」


「え、きゅるって何ですか」

「きゅるっは、きゅるっだよ」


なんとなく察した。説明できないやつですねこれ。大方伊吹さんの造語かなんかでしょう。
今のでこれ以上聞くのはやめることにした。また面倒ごとに巻き込まれそうだから。



「Aちゃんは、笑ったらきゅるっとするよね」
「はい?」
「…だが少なくとも隊長はきゅるっとしてない」

「ん?」

「好きだのなんだのセクハラじみたこと言うな。」
「いやいや、俺は尊敬の気持ちを込めて好きって言ったの。だから安心して。志摩ちゃんとは違うから。俺のは志摩の好きとは違ってライクの意味……」
「ちょっと待って?何の話だ?」


話が段々見えなくなってきた。
さっきの伊吹さんの告白は女性としてではなく憧れってこと?でも志摩さんはガチ目の好きってこと?…面白い。


「隊長のこと好きなんでしょ?ラブの匂いが「しないよ!
 どこがだよ!してないだろ」
「へぇー!」
「後ろうるさい」


伊吹さんが強調した“ラブ”に間髪入れずに反論した。
…怪しい。柄にもなく焦ってるみたい。


「証拠もなくアホな勘で馬鹿みたいなこと言うな。」
「セイセイセイ。
 隊長に男がいたって、結婚してないならまだチャンスはある!」


志摩さんは伊吹さんに「あのな、隊長は__」と弁解しようとしたが、それを遮るようにして無線が入った。


『西武蔵野署管内、西武蔵野工業団地内の公衆電話より緊急通報。通報中での声紋鑑定の結果、西武蔵野工業団地の緊急通報者は前回までの虚偽通報者と同一人物と確認。
 現場にて容疑者を確保願いたい。』
『401了解』
「機捜404、北山交差点から向かいます。」


「今度はサクッと捕まえますか!」

その声には、前のような不謹慎な、嬉しそうな感情は含まれていなかった。
だから今回は誰も反論しなかった。




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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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