のんきな猫と死にたがり (ページ29)

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「塀を登って道じゃない道を走って、お前は猫か！！インカムを使いなさい！
　報連相はちゃんとする！！」

はい、
はい、
すみません。
と心の中で何度も呟く。

「でも品川区の殺人事件の時はちゃんと連絡入れましたし…」
「東京じゃなかったからでしょう！？
　他は全部事後報告！そろそろ自覚しろ！！」

「はい、すみません！！」

どうやら私は火に油を注ぐのがうまいらしい。もう余計なことは言わないでおこう。
マメジの時同様に長くなりそうだと思いながら右から左へ受け流していると、思いのほか早く終わり4機捜の分駐所にそそくさと帰った。

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「402出ます」

「あ、行ってらっしゃい」

すれ違い際の挨拶に返していると、目の前に、ソファに座る2人がいた。

「ただいま戻りました。」
「おかえり、説教食らってきた？」

志摩さんの意地悪い顔が見えて、隊長にチクった犯人が分かった。
…だから昨日はいつにもまして穏やかだったのか。

「私以上に伊吹さんの方が問題児じゃないですか！
　私は勘ではなく犯人の跡を元に動いてるんです！！」

そう、私はふんわりした臆測ではなく、しっかりとした推測だ。
なのに呼ばれて説教食らうのは私だけ、
腑に落ちない。

「まあまあ、それは置いといて…
　ねね、Aちゃんはうふふってる？」

「はい？」

戻ってきて伊吹さんの第一声が「うふふってる？」
言葉の意味がわからず聞き返してしまった。

「あー、気にしないでいいよ。」

志摩さんがあの顔をした。あの、面倒くさそうな顔。
それからすべてを察して反応しないことが一番いいことだと脳内で整理する。

「…わかりました」
「いや気にしてよ！！

　だって4機捜の華だよ？気にならない？？
　彼氏とか彼氏とか彼氏とか！！」

いないの？いるの？と後ろを付き纏われる。
このままだと埒が明かないな、と思い「…いますよ」と目を合わせずに言い放つ。
すると後ろで何かが床に落ちる音がした。
驚いて振り向くと、2人が持っていたはずのバインダーとボールペンが床に落ちている。

「どうしました「嘘だと言って！！！

　Aちゃんまでそうなら俺立ち直れないから！！！」

両肩を持たれてグワングワン前後に揺さぶられる。あー、選択をミスった。「いない」が正解だったのか。酔う寸前「いません嘘ですだから放して！」と言えばやっと解放される。
ああ、なんと、頭痛が痛い…。

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