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夜中に北斗が倒れたとジェシーから連絡が来て、
急いで俺は病院へ向かった。
受付前の椅子に座っていた彼に近づくと、
普段からは考えられないほど沈みこんでいる。
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「ジェシー、」
「あっ、来てくれたんだ……
ごめん、こんな夜中に。俺ひとりだとどうしたらいいか分かんなくて……」
「大丈夫、頼ってくれてありがとう。
北斗はきっと大丈夫だから……」
そう言って、小さく見える背中をさする。
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診てくれた医師によると、北斗は何らかのショックにより意識を無くしたのだろうとのこと。
北斗がショックを受けるほどの出来事って……
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「……北斗、見つけちゃったんだ」
「なにを、?」
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「慎太郎と北斗が、永遠を誓った証の
ペアリング」
思わず、息を飲んだ。
だって、それは、
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「俺が、落としてったのか……」
ごめん、なんて謝って済むことじゃない。
あれは、北斗の記憶を思い出させないようにするため、みんなで相談して俺が預かっていた物だから。
「コーチのせいじゃないよ、」
気にしないで、と彼は言ってくれたが、
俺は気にせずにはいられなかった。
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だって、こんな、
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______こんなにも、上手くいくなんて。
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彼はそんなことに気づきもしないで、
俺の頭をポンと撫でた。
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その温もりが、ずっと俺に向けられればいいのに。
はやく、
はやく、
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俺のところに来てよ、
ジェシー。
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歪んだ心を必死に欺き、
ただひたすら、その温もりに溺れていた。
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作者名:鈴森。 | 作成日時:2020年10月30日 1時