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それから、慎太郎のご両親も来て、しばらくしてからみんなは一度家に帰ったが、俺は無理を言ってずっと慎太郎のそばにいた。
慎太郎は目を覚ます兆しすら見せず、本当にただ眠っているみたいだった。
｢慎太郎、起きてよ……
あの約束、まだ果たしてないんだよ…
楽しみにしてるのは、俺だけなの……？｣
慎太郎の手を自分のそれで包みこみ、額にそっとあてた。
神とやらがいるのならば、慎太郎の目を覚まさせてほしい。
慎太郎と話したい。
慎太郎に抱きしめてほしい。
慎太郎と、
慎太郎と……
刹那、微動だにしなかった彼の指が、
動いた、気がした。
｢慎太郎…？ｯ慎太郎！｣
｢ぉく、と……｣
ほ、の音が掠れてほとんど聞こえなかったが、
確かに、北斗、と、そう呼ばれた。
｢慎太郎……ｯ！｣
｢なかな、ぃで……
おれは、北斗の笑顔が、みたい…｣
傷が痛むのだろう、ほんの僅かに微笑む彼。
｢慎太郎、痛かったよね……怖かったよね…ｯ
ごめんね、俺が買い出しなんか頼んだから…
俺が、俺が行っていれば、慎太郎は…ｯ！｣
｢んなこと、言わないでよ……
俺が、行くって言ったんだし？
泣かせてごめんね……？
…あっ、あの子は？大丈夫だった？｣
こんな目にあったのに、相手の子を心配する彼の優しさに、むしろ苛立ちすら感じられる。
そんな優しいところも好きだけど、こんな時くらい、自分を優先してほしい。
｢ばかっ……ｯ
お前が避けた子は、かすり傷程度で無事だったってきいてる。慎太郎が、助けたんだよ…！｣
｢そっか、俺、助けられたんだ…
良かった〜、あの子には怖い思いさせちゃったよね、
ちゃんと、謝りたいな……｣
｢あの子のご両親も、謝罪に来てたんだよ…
慎太郎もちゃんと休んで、元気になったら謝りに行こう…？｣
｢そうだね、
…ねえ、北斗？｣
｢なぁに？｣
｢約束、守れなくてごめんね｣
ﾋｭｯ、と喉が音を鳴らした。
｢なに、言って、｣
｢北斗と、もっと生きたかった、な｣
｢慎太郎…？そんな、こと、
ねえ、生きようよ、慎太郎ｯねえ！｣
｢北斗、｣
愛してる、と、
慎太郎のその言葉は、口に出ることなく、
慎太郎の顔が歪んでいった。
けたたましく鳴り響くアラーム音に、冷や汗がどっと噴き出してきた。
｢、慎太郎……ｯ？｣
脳が処理するよりも先に、
ナースコールへと手が伸びていた。
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作者名：鈴森。 | 作成日時：2020年10月30日 1時
