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慎太郎はジェシーと同い年で、人一倍ダンスが上手く、数々の賞を取るほどであった。
才能に恵まれた彼だったが、決して努力を惜しむことはなく、最年少でありながら自分の意見もしっかり持っていて、それでいて誰よりも周りを見れる人だった。
そんな彼に、俺は惹かれていった。
嬉しいことに、彼も俺を好きでいてくれたらしく、
俺が大学3年、慎太郎が2年の時、文化祭が終わったあとに告白され、付き合うことになった。
その時も6人で打ち上げをしていたから、4人には随分と弄られたものだ。
間違いなく幸せだった俺たちに転機が訪れたのは、
慎太郎とジェシーが卒業した後、6人で山にある京本家の別荘に、卒業旅行代わりに遊びに行った時だ。
みんなでBBQをしようと、それぞれに食材を持ち寄ったはいいが、別荘にあったチャッカマンがガス切れで使えなかった。
ジェシー以外は免許を持っていたが、それぞれBBQの下準備やら何やらで手が離せずにいた。
そこで、慎太郎がおつかいを買って出てくれた。
樹の車で来ていたので、樹から車のキーを受け取り、慎太郎は買い物に行った。
下準備を終え、あとは慎太郎を待つだけ、となり、みんなで話していたら、着信音が鳴り響いた。
見てみると俺の携帯で、慎太郎からだった。
｢もしもし、慎太郎？
こっちはもう準備終わって……｣
｢すみません、警察署の者ですが、森本慎太郎さんのお知り合いの方でしょうか？｣
｢…？はい、そうですが……
慎太郎が、何か？｣
｢西通りで交通事故が発生しまして、森本慎太郎さんはたった今病院に搬送されました。
住所をお伝えいたしますので、今から病院の方に来られますでしょうか？
場所は、……｣
頭が真っ白になる、とはこういう事か、
なんて的はずれな考えが過ぎる。
嘘だ、慎太郎が、なんで、
だって、さっきまでたしかにここで笑ってて、
おつかいに行っただけで、？
｢おい、どうしたんだよ、
慎太郎なんて？｣
｢チャッカマン置いてなかったとか？｣
｢それか道に迷ったとか？｣
｢あはは、それは流石に無いでしょ！｣
｢……おい、北斗？｣
.
｢慎太郎、事故にあった、って……｣
さっきまでのみんなからは考えられないほど、
部屋は静まり返っていた。
電話が切れた携帯から、無機質な音が響いていた。
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作者名：鈴森。 | 作成日時：2020年10月30日 1時
