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kc.
樹は慎太郎と仲が良く、兄弟のようだった。
でも、樹は慎太郎のことを兄弟だなんて、
ましてや友達とも思っていなかったのではないか。
俺がそう考えるようになったのは、
病室で慎太郎を見つめる樹の目を見てからだ。
その目には見覚えがあった。
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なあ、お前、
慎太郎のこと、好きだったのか……?
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もしそうだとしたら、辻褄が合うのだ。
慎太郎は樹の車で買い出しに行っていた。
誰かの手によって慎太郎が乗っていた車が爆発したのだとしたら、車に細工がされていた可能性がある。
でも、大我の別荘に行く時は
別に何ともなかった。
なら、
BBQの準備をしていた時はどうだ?
あの時、
北斗と俺は別荘の中で食材の準備をしていて、
大我とジェシーは火を起こす係だったが、
チャッカマンがガス切れで使えず、早々に別荘に戻ってきた。
樹は慎太郎と掃除をしていたが、電話が来て一度車に戻っていた。
もし、あの時、
樹が車に戻った数十分の間に、
樹が車に何かしらの細工をしていたとしたら?
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……いや、もしそうだとしても慎太郎が買い出し行くという確証は無かったはずだ。
仮に車に細工をしたのが樹だとして、
なぜ樹はそんな事をしたのかという疑問は晴れない。
.
そういえば、
北斗が一部の記憶をなくしていると知った時、
北斗にあの指輪を見せないようにと言い出したのは樹だった。
当時はジェシーや大我も賛成していたから流れで俺が預かることになったけど、今考えると、なんであの2人は樹に賛成したのだろうか。
たしかに北斗に思い出させるのは酷かもしれない。
けれど、大切な人との記憶を失うことの方が、
よっぽど辛いのではないだろうか?
いくら思考を巡らせても、答えは見つからない。
ならば、
.
.
北斗に思い出させた方が、
何か進展するのではないか。
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たとえ、誰が何を思っていようと、
俺は愛する人から愛されたい。
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そんな邪な考えから、
俺はあの日、
わざとあの指輪を彼らの家に落としていった。
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まさかこれを引き金に歯車が再び動き出すなんて、
思いもしなかった。
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作者名:鈴森。 | 作成日時:2020年10月30日 1時