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hk.
ある日のこと、
大学時代の友人たちが家に遊びに来ることになり、
急いで部屋を掃除する。
ふたりがかりで片付けていると、電話の音が鳴り響いた。
「もしもし、」
『北斗?俺だけど、もうすぐ家着くよ〜』
「わかった、待ってるね」
『はーい』
「ジェシー、樹たちもうすぐ着くって」
「OK、久しぶりだから楽しみだね〜!」
「ほんとにね、ジェシーが卒業してもう5年近く経つんだから不思議なものだよ」
「AHA!ほくちゃんオジサンみたいだよ」
なんて言い合っていると、ピンポーン、と音が鳴った。
はーい、とだけ応えてドアを開けると、懐かしい顔ぶれ。
「北斗久しぶり〜!元気だった?」
「元気だよ、そういう樹こそ相変わらず?」
「もう相変わらずラブラブよ??」
「樹、恥ずかしいから。
ごめんね急に、お邪魔します」
「これ、ケーキだからみんなで食べよ!」
「京本も高地も久しぶり。
ケーキありがとう、お茶用意するから入ってよ」
お邪魔しまーす、と声を揃えて、3人が家に入る。
樹は俺と同い年、京本が1個上、高地がその更に1個上という、年齢はバラバラだが、3人とも、いわゆるサークル仲間というやつで、学生時代は6人でSixTONESというグループを組み、ダンスの練習に励んでいた。
当時の思い出は、1番キラキラと輝いている。
それほど楽しかったし、真剣だった。
人数分のコーヒーを用意し、持ってきてくれたケーキもお皿に分けて、フォークと一緒にテーブルに並べていく。
席に着くと、途端に話に花が咲く。
「にしても、まさかジェシーと北斗がくっつくとはな〜」
「ほんと、一生ジェシーの片想いだと思ってたや」
「え、大我ひど〜い!まあ俺もそう思ってたけどさ、今めちゃくちゃしあわせだよ、マジで」
「しあわせそうで良かったよ。
北斗も今しあわせ?」
「しあわせだよ、
ジェシーがいてくれて本当に良かったと思ってる。」
「本当なら、ここに慎太郎もいたんだろうな…」
誰からともなく、ポツリと放たれた言葉。
「まあ、さ、慎太郎もきっと今ごろ俺たちのこと見守ってくれてるんじゃない?」
「そうだよ、アイツ一番俺たちのこと大好きだったもんな」
「特に北斗のこと大好きだったから、きっとすぐ近くにいるんじゃない?」
慎太郎は、俺たちの大切な仲間だった1人。
もういなくなってしまったけれど、
たしかに俺は当時、慎太郎のことを愛していた。
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作者名:鈴森。 | 作成日時:2020年10月30日 1時