【短編集】君の傍に[実況者]

35- 海夜＿ゾム ページ35

波打つ音が心地よくて目を瞑る。



足元に浸かる水が少しぬるく感じる。






目を開ければ月が水面に反射して、

何処か幻想的に揺らめき光を放って見えて。







頬を撫でる少し暖かくなった風や、水の感触、鼓膜を撫でる心地良さの全てが
私にもうすぐ夏なのだと報せている様に思えた




　「痛いなあ…」

呟きはするものの
砂浜を裸足で歩けば感じるその小さな痛みも
今はそれほど悪くない







このまま波に向かって歩けばもっと心地いいのだろうか。

ふと過ぎった頭に体が突き動かされ、私は足を踏み出した




一歩、二歩。

赴くままに足を進ませれば
足首までだったその水は、今では膝下にまで浸かっていた





このまま行けば波に攫われる可能性もある

それでも何故か進みたくて、私はまた足を踏み出した









ゾ「っ、何やってんねん」

突然背後から抱き締められ重心がそちらに傾く
先程まで鼓膜を揺らしていた音とは明らかに違うその聞き慣れた音
しかし別段驚く事でも無い



どうせ何処かで見ているのは分かっていた

どうせ止められるだろうと分かっていた





　「波に当たりたいなあと思って」

驚く事もせず、ただ平然とそう返せば
彼が後ろで少し顔を顰めたのを感じた。




ゾ「ホンマ、怖いわ
何時か自分そのまま逝きそうやし」



肩に顔を埋め、
彼は縋り付く様に腰に腕を巻き付けた



キツいと文句を言うも、どうも離す気はサラサラなさそうだし拘束が緩まる気配もない



彼の髪が肌に当たり擽ったくて
身を捩るとさらにキツく抱き締められた





諦めて思わず息をつけば
彼は察した様に少し腕の力を弱めた



全く憎たらしい。
人が逃げる事をやめた途端これなのだから





ゾ「…Aは、何処も行かんといてや」




月に照らされたその翡翠は懇願する様に
貴方の瞳を捉える。


その腕が、その瞳が、彼自身が私を手放さないというのに。



死ぬ事など、貴方が許してくれないクセに。





心の中で悪態をつきつつ、
彼を心から拒めない私が居ることも確かだと

私は近付く彼に求められた物を自分から重ねた




＿＿＿＿＿＿

今日校外学習で海に行ってきました


バーベキューと海という何とも在り来りですが
海のない県からすれば結構テンション上がりました


めっちゃ楽しかったです


ただ裸足で砂浜歩くと下半身にきますね、
めっちゃ疲れました←

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