【短編集】君の傍に[実況者]

25- 貴方と＿キヨ ページ25

クリスマスなんて嫌いだ





両親から貰えるプレゼントも義務で、
サンタなんて何処ぞの北極区でもない日本に居るはずがない






おとぎ話に振り回されて、挙句には両親は
有難く思えよ、なんて






うんざりで堪らなかった









だけど、今年はなんというか









キ「よっ」


　「ん」








繋いだ手から伝わる彼の体温が凍り固まっていた私の思いが溶かされていくように感じた
彼と手を繋ぐのも、この彩られた街並を見るのもいつも通りなはずなのに


大嫌いだったはずなのに







　「今日は特別な日な気がするよ」



キ「『気がする』じゃなくてそうなんだけどな」



苦笑する彼も何処か、いつもより気分がいいのか声が高く感じた



　「うっわ、むっちゃ綺麗…」



キ「それな…」




思わず嘆息をつく程、いつもならなんてことの無いそこらにある木や地面が無数の光で彩られている様はまさに圧巻だった



イルミネーションをわざわざ見に来る、なんて人生で初めてのことだが

中々にいいかもしれない









　「ね、キヨ」




キ「ん？」








　「来年も、またこよーね」






キ「…先に言うなよ」








クリスマスは、また貴方と＿

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