[短編集]色んな愛[実況者][完結]

12　恋＿牛沢　ｱｵ。さんリクエスト ページ12

ただいつもと一緒。









想い続けても何も変わらない。









一年の頃、たまたま彼の部活、剣道をしている時の姿を見た。









その時名前も知らない、声すら初めてきいた彼を好きになったんだ。









真剣な眼差しの横顔があまりにも綺麗で









思わず息を飲んでその場に呆然と立ち尽くしてた。









ドクンドクン、と早くなる鼓動。









体の熱が顔に集中してすっごく熱かったのを今でも覚えてる。









一目惚れ、それにしてはよく続いた方ではないだろうか。









それも一年と二年はずっと彼の部活動での姿を見てただけ。









一階の美術室からちょうど見える武道場を盗み見て









でもそれで充分だった。









誰にも相手にされない、人見知りで友達なんていない私にとっては









ただ彼を遠目で見てるだけで満足だったんだ。









でももし神様がいるなら私はお礼を言いたい。









三年、私は彼、牛沢君と同じクラスになった。









席はそれほど近くはならなかったけど









それでもこれ以上ないほど嬉しくて、家に帰ってもずっと表情が緩んでた気がする。









でもそれっきり。









三年になったら部活は引退だから









唯一の楽しみだった彼の部活姿ももう見れない。









それに牛沢君の身長はそこまで高くないとはいえ









顔もいいし、何気に優しいし、運動もできて面白いから









女の子からも、男の子からも好感があって









いわゆる人気者。









そんな人と底辺な自分が喋れるような接点なんてないし









まず底辺な私が話しかけることによって彼が他の人から、からかわれてしまうかもしれない。









彼が迷惑と思うかもしれない。









話したい、それは本気で思ってる。









でもそんなこと出来るわけないって理解してるから。









ただこの恋心が薄くなって消えるまで









胸に秘めるんだ。

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