一朶の雛芥子(kn) ページ23
目を離せば
先程までそこに居た筈のAがいない
見渡しても広い廊下がずっと続くだけ。
俺の様子に特に気に止めない女中が通り過ぎていった
コ「……おもんないな」
吐き捨てて、空いていた両手をポケットに突っ込んで部屋に向かう
フワフワと、その場に留まらないAは見ていて飽きないし、一緒に過ごすのはなんだかんだ言って心地いい
関わり出して初めの方はそれだけだった
なのに最近はAとずっと一緒にいたくてしょうがないのだ
それだけじゃない
話したいし、触れたいし、触れてほしい。
あの笑顔で、あの瞳で自分を映してほしい。
でも、
まだ今の自分にはその感情に名を付けられない
分からないから。
『…わっ！！』
コ「うおあああっ！！」
『うっさ…』
コ「驚かせといて何やねん！！」
突然耳元で大きな声が聞こえ反射的に声を上げると、いつの間にかそこにいたAが両手で耳を塞ぎ眉を顰めていた
ひくりと口角が引き攣るが
ごめんごめん、と悪びれもない何時もの様子に
まあいいか、と怒る気も失せてしまう
コ「…何か用あるんか？」
自身に何か用があるのか、
というただの疑問を尋ねると、彼女は自分の予想に反して首を振った
『何か、シッマ暇そうやったから』
此方の顔を見つめ伺う彼女に何だか頬が緩む
思わぬその言葉にか、
はたまた自分を気にかけてくれたという事実か
多分議論の余地なくどちらもなんだろうけど
コ「…！A、お前最近寝とるか？」
ふと、その目の下に黒色が刻まれていることに気付きそこを撫でると、本人はバツが悪そうに目を逸らした
『え、あー…あんまり、かな』
コ「アホ、体調管理は基本やろが」
『はーい…』
…分かっているのか分かっていないのか。
トントンもこういう所はガバガバだが
此奴もそこは人に言えないほどにガバガバだ
コ「…行くぞ」
一つため息を吐いて、
腕を彼女に伸ばし抵抗される前に担ぎあげた
『別に、大丈夫やって』
こうなれば抵抗しても無駄だと知っているのか
連れられるままの彼女が一言だけそう零した
そう言って、いつも無理をするくせに。
それこそ倒れるほどに。
コ「…無理はすんな」
ベットにおろした彼女の頬を撫で言葉をかける
今はこの感情を言葉に出来ない
でも、Aの傍にいれば
何時か口に出来そうな気がするから。
少なくとも
その何時かが訪れるまで
お前には自分の傍にいてほしい
＿＿＿
…花言葉：『恋の予感』『陽気で優しい』
『労り』『思いやり』
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琴葉(プロフ) - 龍ヶ崎 大和＠天災駄作者さん» 通知が来ておらず…返事が遅くなりすみません…！！こんなに褒めてもらえることなかなかないので…そう言って頂けて本当に嬉しいです！！！ありがとうございます！ (2019年10月8日 20時) (
レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
龍ヶ崎 大和＠天災駄作者(プロフ) - 関連に出てきて来てみたんですが……これはすごいですね。1話読んだだけでもわかる圧倒的な文章の質の良さ。そして一人一人のキャラの確立、文の読みやすさ。これは10点満点の評価もわかります。素晴らしいですね。(上から目線だと感じたらすみません) (2019年9月14日 11時) (レス) id: 37693eaa1b (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 焔花さん» そう言って貰えるのはホンマに嬉しいです…！！！ホンマに、全然わからんくて…曖昧なままで日常の方には入れたくないなあとか、皆さんにほぼ違和感なく読んでもらいたいなあって思って、こっちで練習試合しております… (2019年8月17日 1時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
焔花(プロフ) - オスマンさんの口調判らんってほんまですか？私琴葉さんのオスマンさんの口調めっちゃ好きなんですけど。 (2019年8月15日 20時) (レス) id: 501ef726e1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 黒狐さん» ありがとうございます…！！(拝) 全部！？だいぶ量多いのに…嬉しいです…！お疲れ様です！！ (2019年8月15日 9時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉
| 作成日時：2019年7月4日 1時
