その手を引いて(zm) ページ21
Aが死んでからというもの
悪戯をする気にはなれず、何も予定がなければ
ずっと部屋で過ごす毎日。
…おもんない。
ふと、ドア元から大先生の声が聞こえ、
瞳を隠していた腕を外した
ゾ「…どないしたん」
鬱「元気ないなあ、可愛い新人さん来たで」
ああ、グルッペンとかが何か言うとったな
なんて、正直興味がない。
Aがおらんくなって
本当に自分が抜け殻にでもなってしまったようだ
しかし興味がないにしろ
わざわざ部屋まで来てくれた大先生を邪険に扱う気も起きず
ゾ「…入りや」
部屋に入ることに了承を出せば
大先生は先程以上に優しい表情で足元を見た
いや、厳密にいえば足元に引っ付いていた女の子だ
鬱「ゾムさんが部屋入ってええよって、
入り？」
促されやっと部屋に入った子供の顔を見て
俺は息をのんだ。
驚きすぎて、息をすることも忘れ
彼女の顔を見つめる
ゾ「は、…A、やんな？」
幻覚かと思った。
夢かと自分の目を疑った。
俺の様子に戸惑いつつも頷く彼女に
恐る恐る腕を伸ばし抱き締めれば、
懐かしいその温かさと匂いに思わず涙が浮かんだ
鬱「…シャオちゃんとこ、またあとで連れてってあげてな」
そう言い立ち去った大先生に返事を返す余裕もなく。
他人の空似だとしても構わなかった。
Aにもう一度会えたのだと
今腕から伝わるこの温もりが全てに思えた
驚いたり戸惑うその様子から自分を知っているわけではないとすぐに分かる
記憶がなくても構わない。
また最初から始めればいいのだから
ゾ「ごめんごめん、何する？そや、俺と面白い事やらん？」
驚かせたことに謝罪をし、フードで涙を隠す
一回り以上に小さくなったその手を引き、あの頃のように笑みを浮かべて
久しぶりに心が躍った。
久しぶりに真っ黒だった世界が色づいたような気がした
教えれば教えただけすぐに出来てしまうAに
ああ、本物だ、と心の中で呟く
『めっちゃ楽しいね！！』
もっと教えて、とはしゃぐ彼女の笑顔は
変わらず、陽だまりのように温かった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
至極不明瞭な日常を
…転生してみた、抜粋
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琴葉(プロフ) - 龍ヶ崎 大和＠天災駄作者さん» 通知が来ておらず…返事が遅くなりすみません…！！こんなに褒めてもらえることなかなかないので…そう言って頂けて本当に嬉しいです！！！ありがとうございます！ (2019年10月8日 20時) (
レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
龍ヶ崎 大和＠天災駄作者(プロフ) - 関連に出てきて来てみたんですが……これはすごいですね。1話読んだだけでもわかる圧倒的な文章の質の良さ。そして一人一人のキャラの確立、文の読みやすさ。これは10点満点の評価もわかります。素晴らしいですね。(上から目線だと感じたらすみません) (2019年9月14日 11時) (レス) id: 37693eaa1b (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 焔花さん» そう言って貰えるのはホンマに嬉しいです…！！！ホンマに、全然わからんくて…曖昧なままで日常の方には入れたくないなあとか、皆さんにほぼ違和感なく読んでもらいたいなあって思って、こっちで練習試合しております… (2019年8月17日 1時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
焔花(プロフ) - オスマンさんの口調判らんってほんまですか？私琴葉さんのオスマンさんの口調めっちゃ好きなんですけど。 (2019年8月15日 20時) (レス) id: 501ef726e1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 黒狐さん» ありがとうございます…！！(拝) 全部！？だいぶ量多いのに…嬉しいです…！お疲れ様です！！ (2019年8月15日 9時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉
| 作成日時：2019年7月4日 1時
