トモスアカリ2 (ページ37)

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2話　ＮＯside ページ37

ハガネはせりの傍によって座った

ハガネ「せりちゃん…大丈夫？」

せりは泣きそうな声で「先生…」とだけ言った。後ろではせりの母親が様子を伺っている

せり「…家に帰って勉強しようと思ったんだけど、問題が難しくて全然解けなくて…むしゃくしゃしてハサミで切ったら、何だか急に気持ちよくなってきちゃったの」

ハガネ「どうして急に難しい勉強なんか始めたの？」

せり「私、この前いとこが通ってる聖アンナ女学院に行ったの」

ハガネ「あの有名私立の？」

せり「…うん。その時聖歌隊のコンサートやってて、それがすごく素敵だったの。だから私、どうしてもこの学校に入って聖歌隊で歌いたいの」

ハガネ「そうだったんだ」

せり「…先生、どうして私、頭悪いのかな…？人より勉強しても人より馬鹿だ。
外を歩いてて自分が窓ガラスや鏡に映るでしょ？でも…自分を見たくないの。真理衣の言う通り私、終わってるんだよ」

ハガネ「そんなことないよ」

―――

せり母「ご心配おかけして申し訳ありませんでした…
うちは私も主人も学歴はないから子供だけは大学にいかそうって頑張ってきたんです。だからせりが塾に行きたいって言い出した時も無理して塾に通わせました。…でも成績は一向に上がらず、今度は家庭教師まで頼んできてごねたんです。それに夫がキレちゃって…」

( 父親『うちはな貧乏なんだよ。俺が汗水流して働いた金、もうこれ以上無駄にできるか！』)

ハガネ「でもそれって子供にとってはすごく辛い言葉だと思います」

せり母「でも努力しても報われないことって世の中にはあるでしょう？せりにはやっぱり、勉強は無理なんです」

ハガネ「たとえ結果に結びつかなくても、努力したことが全て無駄になるとは言えないんじゃないでしょうか。少なくともせりちゃんは目標をもって頑張ってます。その気持ちは、大切にしてあげたいですね」