dryflower 〜 sho.hirano 〜

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1人で歩く帰り道はなんだか寂しくて
星がちらつく夜空をボーッと見上げて歩く





脳裏には紫耀のことを羨ましいと言いながら
寂しそうに笑う神宮寺さんが映し出されて
なんとなくしばらく離れなかった





｢そりゃ、かっこいいいよね…｣





毎日毎日、彼に堕ちては好きになっていくのに
それと同時に私には勿体なすぎるぐらい完璧な彼に
少し不安を覚えるんだ。





そんなとき、青白く光るスマホから聞こえるのは
そんな彼からの通知を知らせる聞き慣れた音で、





“ お腹空いた ” っていう軽いメッセージだけ、
絵文字も何もないのが紫耀らしさを感じさせる。





“ 好きなものばっかじゃなくてちゃんと栄養も取りなね ” って送信したあとにすぐにつく既読の文字になんだか胸が弾み画面を見つめていると





数秒後にいきなりかかってきた電話に
少し驚きつつ通話のボタンを押した。





平『もしもし』





少し低い枯れた声、ゆっくりしたテンポ、





｢もしもし｣





耳から機械越しに聞こえてくるその声だけで
まるで隣にいるかのような気分に陥る。





平『ごめんいきなりかけて』





｢ううん、大丈夫、どうかした？｣





平『声、聞きたくなってさ』





ほら私、また好きになっていく





平『もう家？』





｢まだ外だよ、今帰ってるとこ｣





平『今日遅いんやな、帰るの』





｢そう、だね…｣





落ち着く低音ボイスに癒されていると
続けて降ってくる声に違和感を感じる





平『あー、ごめん、違う』





｢しょう？｣





平『ほんまはこんなこと言いたいんちゃうくて』





スマホの向こうで喋る紫耀の声に
耳を傾けて次の言葉をただただ待つ





平『神宮寺とおったんやんな』







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