社畜ちゃん(sgi)

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今迄の疲労からか、それとも背負ってたものがなくなったからか、私は昨晩は死んだように眠っていた。起きたら朝4時で、お風呂に入ってないことに気づいて慌ててシャワーを浴びた。
アラームもセットせずに寝ていたから、起きた自分を褒め倒したい。

駿貴さんと買いに行った古着も最近はやっぱり趣味ではないとだんだんと奥に追いやられている。別にこんなことで嫌われたりもしないだろうし。そう思える自分に少しの成長を感じて、お気に入りのニットを着る。ラルフローレンは少し値がはるけど、その分生地もしっかりしていて長く着ることができる。


「おはようございます」
「お、A。いいタイミング〜。この資料なんだけど、」


出勤してまだデスクにもついてないのに、なんなら始業時間でもないし朝礼もやってないのに社長は既に仕事モード。まぁここは朝礼らしい朝礼というものはなくてフルフレックスをフルに利用している感じだから気にはならないけど。


「ここのグラフィックがキモいのでバランス取れてない感じ。あと全体的にチカチカします」
「なるほど...ありがとう、検討します」
「はい、おねがいします」
「グッズ良い感じだよ」
「皆さんのおかげです」


商品の売れ行きも上々で、納品もしっかり進んでいる。特に大きなトラブルも発生しなさそうでよかった。私以外にも関わった人はたくさんいて、何なら私は商品デザインとサイトだけしか携わっていない。きっと福良さんはもっと色々知らないところで仕事をしていたんだと思う。福良さんにも一度改めてしっかりお礼を言わなきゃ。

動画の編集作業に取り掛かると、やっぱり時間はあっという間に過ぎて昼休みになる。カロリーメイトを頬張る福良さんにポテチを献上してお礼を言う。


「えー、いいの？夕飯ゲットしちゃった」
「頼むからちゃんと食べてくださいよ」
「食べてる食べてる」


絶対嘘じゃん、と軽口も言い合えるようになって居心地が良い。ポテチを献上していたのを山本くんにもバッチリ目撃されて集られたけど、それも随分心地よい。まるで学生に戻ったようだけど、それでも仕事となると皆パリッと目つきが変わるからすごい。切り替え上手。

今日はきっと研究が忙しいんだろう、午後になっても須貝さんの姿は現れなかった。定時になる頃、スマホにはいくつかの須貝さんからのメッセージ通知が来ていた。お疲れ様です、と周りに声をかけながら外に出る。

冷たい空気を吸い込んで、私は駿貴さんに電話をかけた。

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