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お会計を済ませて外に出れば、酒で火照った身体に冷えた風が気持ちいい。もうすっかり秋だ。本当はそこまで酔えてないけど、酔ったふりをして須貝さんの袖をつかむ。
「先に謝っちゃいます、お酒の力借りてごめんね。でもこれから言うことは本心だから」
「え、なに」
「歩きながら話そ」
そう言って少し袖を引っ張る。駅まで遠回りするか、公園でもいいけど夜の公園ってちょっと怖い。
「私頑張ったと思うんだ〜、自分で自分を褒めたいって感じ」
「駿貴さん、が、あのね、まだ私のこと好きって、言ってくれるなら」
「あのね...あの、」
自分の脈打つ心臓の音で自分の声が聞こえない。散々待たせてしまったことの罪の意識から、付き合ってと言えない。そもそも待っててくれたのかだって怪しいじゃないか。
そんなことを考えていたから全然酔えなかったんだと思う。ビールばかりじゃなくて日本酒を多めに頼んでみたのにほぼ素面状態なんだから。
「えっと、駿貴さんのこと、好きで、あのね」
「...ふふっ」
「な、なんで笑うの」
「脈絡ないなぁと思って、ごめんごめん可愛くてつい」
「ひどい」
「ごめんって、ほら、ねぇAちゃん。俺はAちゃんのこと待ってたよ」
袖をつかむ私の手を握って駿貴さんは私の目を見て言う。
「今度は付き合ってくれる？」
今度はなんて言い方しなくてもいいのに、なんて思ったけど眉毛をこれでもかってぐらい下げて言う駿貴さんを見たらなんだか可笑しくなってしまった。
「逆にいいの？」
「もちろん、俺さっきも言ったけど待ってたんだから。えらいでしょ」
「ん、えらい」
握った手から彼の脈を感じる。駿貴さんも緊張していてくれたのかと思うと嬉しく感じた。
「私、もっと壮大な告白になると思ってた」
「なんでよ、これぐらいのほうがいいでしょ」
本当ならここでキスの一つや二つくらいして、どちらかの家に行くのかもしれないけど。生憎明日もしっかり仕事だし、別にいつだって会えるのだから急がなくてもいいでしょう。
本当に付き合うことになったのか？と思ってしまうくらい淡泊に私たちはそれぞれの帰路についた。
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月華(プロフ) - 初めまして。月華と申します。いつも更新を楽しみにしています。これからまた山本さんもなんとなく加わって、関係性がどうなっていくのか？楽しみにしています。 (2020年9月7日 22時) (
レス) id: 7021cebe65 (このIDを非表示/違反報告)
かもめ(プロフ) - 亜杞さん» わーん！誤字！ご指摘ありがとうございます、気を付けます。 (2020年9月3日 2時) (レス) id: 87fffe4b37 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - 初コメント失礼します。“４”の中の言葉で“誘いそう”が“誘いさう”になってしまってます。素敵な文章ゆえに気になってしまって。。。今後も更新されるのを楽しみにしています。失礼しました。 (2020年9月3日 1時) (レス) id: 4b3f3a4234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かもめ | 作成日時：2020年8月26日 19時
