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「いいねぇ、お店知ってる？」
「もちろんです、ちょっと遠いですけど」
お気に入りのタイ料理まで行けば、店長が気を利かせてか奥の個室まで連れていってくれる。タイのチャーンビールはいつもより身体に染み渡る気がする。
「俺これ初めてだなぁ」
「結構ズシッと味が残りますよね」
「うん、意外と美味しい」
なんとなく適当におつまみとかをつまみながら本題へうつる。自分でも正直よく分かってない、というのを前提に胸中を吐露する。喋ってるうちに泣いちゃったら恥ずかしいなぁ。緊張のせいかアルコールのせいか、やけに心臓の脈を打つスピードが早い。
「私、須貝さんのこと好きです」
「えっ。あっ、うん」
いきなり告白されると思ってなかった様子で、須貝さんは少しどもる。俺も、と小さく聞こえる。少し前ならそれでオールオッケーだったのかもしれない。
「私、須貝さんに何か与えられるような人じゃないです」
「知識もないし、ギャグセンがあるわけでもない」
「須貝さんに釣り合うような人間じゃないと、思うんです」
喋るうちに、自分ってこんなこと考えてたんだって妙に冷静な自分もいた。他人事のように感じたおかげで泣かずに済んだのかもしれない。
「えぇ...でもAちゃん、俺のこと好きなんでしょう」
「はい」
「正直それだけでよくね？？って思うんだけど、それじゃ嫌なのか」
「嫌、っていうか...尊敬し合える関係がいいというか」
「俺Aちゃんのこと尊敬してるよ」
「うそだ」
「うそじゃないよ、決めつけないでよ」
見たことない、ちょっとだけ怒ったような表情。
「ヘアメイクとか、編集とか仕事誰よりも早いじゃん」
「俺知ってるよ、結果で勝負させろって頭下げたの」
「ちゃんと仕事に真正面から向き合うとこカッコイイじゃん」
「そんなの当たり前じゃないですか」
「当たり前じゃないよ、それができる人がたまたまウチの会社では多いだけで」
「Aちゃん、もっと自分に自信持っていいんだよ」
「それを当たり前だって言えることがすごいんだよ、わかってよ」
語気が強まる須貝さんは何故か泣きそうな顔をしていた。なんで貴方がそんな顔するんですか。なんと言えば良いのか言葉を探している中、須貝さんは私の目を真っすぐに見て言う。
「Aちゃんは俺のことめちゃくちゃ尊敬してくれてるけどさ」
「その尊敬してる人がこんだけAちゃんのこと褒めてんだよ」
「ちょっとぐらい自負してみてもいいんじゃないの」
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月華(プロフ) - 初めまして。月華と申します。いつも更新を楽しみにしています。これからまた山本さんもなんとなく加わって、関係性がどうなっていくのか？楽しみにしています。 (2020年9月7日 22時) (
レス) id: 7021cebe65 (このIDを非表示/違反報告)
かもめ(プロフ) - 亜杞さん» わーん！誤字！ご指摘ありがとうございます、気を付けます。 (2020年9月3日 2時) (レス) id: 87fffe4b37 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - 初コメント失礼します。“４”の中の言葉で“誘いそう”が“誘いさう”になってしまってます。素敵な文章ゆえに気になってしまって。。。今後も更新されるのを楽しみにしています。失礼しました。 (2020年9月3日 1時) (レス) id: 4b3f3a4234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かもめ | 作成日時：2020年8月26日 19時
