第３１話 君は強い ページ44
〜雪鬼〜
今日のサクラはいつもよりも悩んでいるね
人間と吸血鬼のこと、終わりのセラフのこと、自分自身のこと
ただでさえ考えなきゃいけないことが多い彼女の人生
僕は頭を使うのは面倒くさいから
いつも色々なことを考えているサクラは凄いなって思う
まぁ、鬼に「凄い」なんて思う感情は無いはずなんだけどね…
でも僕は思う
何故かって？そりゃあ……
“サクラの鬼だから”
サクラのなかの【厄災】の因子は僕にも影響を及ぼす
それは彼女のなかに入った鬼の、僕の因子と結合した
つまり、彼女の感情や思考、心、気持ちの変化、更には彼女が受けた“痛み”まで共有しているってこと
完全にとは言い切れないけど、そこが僕とサクラの特別なところだ
まさか、こんな特殊な人間の鬼になるなんて、契約する前は思ってもいなかった
どうせ欲深い醜い人間に使い回されるだけだと
その気になればすぐにでも支配できる弱い人間に使われるのだと思ってた
でも違ったんだ
儀式の陣に入ってきた彼女の精神を僕は侵した
彼女の父親のこと、母親のこと、過去を全て曝け出させて苦しめたのに
≪どんなことをしても構わない。お前がそうしたいなら、私を乗っ取れ……もし……共に闘ってくれるなら…私はお前を…友として受け入れよう≫
精神はズタズタになったはずなのに、彼女は僕にそう笑いかけてきた
驚いた…こんなに強い人間が居るのかと
この世界のなかじゃ、サクラが乗り越えてきた悲劇なんて其処まで凄惨じゃない
家族を目の前で喪った者。信じた人に裏切られた者。愛する人を救えなかった者…
皆が悲劇を味わったあの世界崩壊
サクラも母親を喪った
そこから強くなりたいと思う一連の流れは極自然なものだ
あの百夜 優一郎という子供もそうだったように
でもサクラの場合は…強くなりたいってわけじゃない
サクラはただ……“誰かと生きたいだけ”なんだ
独りじゃ生きられない弱い人間
きっとそう思うヤツも多いだろう
でもサクラは、鬼である僕の前でその弱さを曝け出した
鬼に弱さを見せれば乗っ取られると言うことを知っているはずなのに
隠すこともせず、開き直りというわけでもなく、ただ純粋に僕を求めてきた
≪私は弱い。でもお前が居れば強くなれる≫
自分の弱さを認め、それを隠さず他人に見せる
恥ずかしいとかそんな柵に邪魔されずに
僕に人間としての君を見せてくれた
それが何故か嬉しかった
鬼なのにね…
だから…サクラ…
僕は君が何者だろうと
決して君を裏切らない
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InaNyan(プロフ) - 全てよみました。体調に気をつけて下さい。待ってます。 (2018年7月23日 21時) (
レス) id: 7122b96239 (このIDを非表示/違反報告)
依紀 - 今日はじめて読みました！体調のほうは大丈夫ですか……？この作品、とても気に入りました！色々と応援してます！頑張って下さい！！ (2018年4月14日 19時) (レス) id: f149e1f30f (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 朔夜さん» コメントありがとうございます！頑張って更新します(≧▽≦) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - すごく面白いです 更新頑張ってください (2017年1月5日 12時) (レス) id: 184ba2587c (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 狼鬼さん» は、はいっ！頑張らせていただきますっ！！(≧▽≦) (2016年10月22日 16時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：★ホームランバッター☆ x他1人 | 作成日時：2016年8月31日 19時
