第２３話 女王 ページ36
吸「…此方でございます」
一般吸血鬼に案内され、女王のもとに通された
「……」
……ここが…王の間…
天井を見上げると、その広さと豪華さを実感した
？「貴女が…サクラ？」
突然聞こえてきた女の…いや…少女の声に身構える
？「そんなに警戒することはない。私は貴女と
お喋りをしたいだけ」
その言葉と同時に、正面から吸血鬼が歩み寄ってくる
私より少し濃い桃色の髪、深紅の瞳、肩にひとつ目のコウモリのような生き物を乗せている
一見妖艶な美少女だが…その自信に満ちた顔と堂々とした佇まい、そしてその華麗な仕草が悟らせる……彼女が女王だと
「……」
警戒態勢を保ったまま片膝を付き、左手を胸に置く
「…御目にかかれて光栄です…女王陛下」
ク「あは…礼儀正しいわね。フェリドに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい」
……
ク「顔を上げなさい」
「……」
言われるがまま、彼女の美しい顔を見上げる
すると、彼女の小さな手が私の顎に添えられる
ク「…綺麗ね…」
彼女は目を細めた
ク「綺麗な顔…その青い瞳も…完全な吸血鬼になってしまえば、瞬く間に血の色に変わる…」
「…私は…人の血を飲むつもりはありません」
ク「……そう…」
彼女は私の顔から手を放した
ク「でも…いずれ時は来る…貴女は吸血鬼になる運命なの」
「……」
ク「ミカエラも…もうじき…」
ミカエラ…あの金髪の吸血鬼…
なるほど、彼は女王の血を受け継いだのか
ク「…貴女には…運命に抗う力があるかしら…？」
そう言う彼女の目は…悲しいような…しかし…どこか期待をしているような目だった
ク「この崩壊する世界のなかで、貴女はいったい何を見つけるのかしら…」
「……」
可笑しな吸血鬼だ…
吸血鬼がこんな顔をするなんて…今まで知らなかった…
「…私は…」
口が動き出す…心が言葉を紡ごうとしている…
「…私はもう…戻れない…」
ク「……」
「…でも…生きたいと思った…そうすれば…また誰かに必要としてもらえる…かも…しれない…」
幼い頃から…父のためだけに在り続けたこの命…
せめて…自分の好きなように使いたい
ク「…あは…気に入ったわ…御神サクラ」
女王は笑いながら言った
ク「また来なさい。クローリーには私から言っておくわ」
「…はい」
ク「…行きなさい」
私は立ち上がり、一礼して王の間を出た
部屋を出るまで、背後に女王の視線を感じていた
「…クルル・ツェペシ…」
…他の吸血鬼とは違う
彼女は…クローリーとはまた違った、私のなかでの特別になった…
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InaNyan(プロフ) - 全てよみました。体調に気をつけて下さい。待ってます。 (2018年7月23日 21時) (
レス) id: 7122b96239 (このIDを非表示/違反報告)
依紀 - 今日はじめて読みました！体調のほうは大丈夫ですか……？この作品、とても気に入りました！色々と応援してます！頑張って下さい！！ (2018年4月14日 19時) (レス) id: f149e1f30f (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 朔夜さん» コメントありがとうございます！頑張って更新します(≧▽≦) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - すごく面白いです 更新頑張ってください (2017年1月5日 12時) (レス) id: 184ba2587c (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 狼鬼さん» は、はいっ！頑張らせていただきますっ！！(≧▽≦) (2016年10月22日 16時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：★ホームランバッター☆ x他1人 | 作成日時：2016年8月31日 19時
