第１０話 家畜ではなく ページ13
〜クローリー〜
…真夜中…
月明かりが射し込む窓の傍で、僕は本を読んでいる
１３世紀のヨーロッパに関する本だ
色々と書いてある
キリスト教のことや…十字軍の戦争のこと…十字軍で名を上げたテンプル騎士の名前も記してある
誰が伝えたのかは知らないが、僕の名も載っていた
≪多くの異教徒を殺し、神の意思を全うした英雄≫
ク「……ははっ」
笑わせてくれるね
神だとか、英雄だとか
今の僕には縁のない話だ
そもそも…神なんてものは存在しない
不意に窓の外を見ると、何故かそこにはサクラの姿があった
しかも…人間と…家畜と手を繋いで歩いている
他にも五人程の人間がいる
ク「…あれ？さっきまで寝てたはずだけど」
いつの間に外に出ていたんだ
僕は本を置き、外に出た
そして、必然的に彼女達と鉢合わせた
ク「何してるの？サクラ」
「……クローリー」
彼女は子供達を庇うように前に出た
ク「…で？その子達は？」
「ヨハネの四騎士に追われていたから、助けただけだ」
なるほどね
「ここで面倒を看たい」
ふむふむ……ん？
ク「え？」
「家畜としてではなく、人として面倒を看てあげたい」
何言ってるの？
ク「あのねぇ、ここの人間は皆家畜として扱われているんだ。なのにその子達だけっていうのは…」
だが、彼女は僕の言葉を遮った
「なら私がその子達全員を預かる」
……え……更に可笑しなこと言い出したよ
ク「…正気？」
彼女は頷く
はは、強情だなぁ…
「他にやることがない」
はぁ…ま、いいか
ク「いいよ」
そう言うと、サクラは微かに微笑んだ
優しく…安堵したように…
まるで…彼女のように…
僕がそんなことを考えていると、いつの間にか彼女は僕の横を通り過ぎていた
その、子供の手を引く後ろ姿も…彼女にそっくりだ
ク「………」
何でこうも彼女の姿を重ねてしまうのか
８００年も前の女なんて、家畜の女なんて…忘れてしまえばいいのに…
いや、忘れられないからこそ僕は…サクラを吸血鬼にした
８年前のあの日…とある教会で見た、幼いサクラの顔
成長したら、きっと彼女のような女性になるのだろうと思ってはいたけど…まさかここまで似るなんて…
フェリド君が言っていた
僕がサクラと出会ったのは…偶然なのか…それとも運命なのかと…
ク「……ははは」
やっぱり可笑しいなぁ…
運命だなんて…信じるわけないじゃないか…
ク「……でもなぁ…」
流石にここまでくると…
運命かもしれないと思えてくるから不思議だよ
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InaNyan(プロフ) - 全てよみました。体調に気をつけて下さい。待ってます。 (2018年7月23日 21時) (
レス) id: 7122b96239 (このIDを非表示/違反報告)
依紀 - 今日はじめて読みました！体調のほうは大丈夫ですか……？この作品、とても気に入りました！色々と応援してます！頑張って下さい！！ (2018年4月14日 19時) (レス) id: f149e1f30f (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 朔夜さん» コメントありがとうございます！頑張って更新します(≧▽≦) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - すごく面白いです 更新頑張ってください (2017年1月5日 12時) (レス) id: 184ba2587c (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 狼鬼さん» は、はいっ！頑張らせていただきますっ！！(≧▽≦) (2016年10月22日 16時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：★ホームランバッター☆ x他1人 | 作成日時：2016年8月31日 19時
