第９話 人間らしく ページ12
目が覚めると…窓からは月が見えていた
「…半日…寝ていたのか」
正直言って、自分がまだ眠るという生理的欲求を持っていることに安心した
そうでなければ…夢のなかにでもいなければ…
「……壊れてしまいそうだ」
起き上がってみると、驚く程体が軽かった
たが、寝ている最中に首に違和感を感じた
恐らくクローリーが血を飲んでいたのだろう
「……」
外に出てみると、冷たい夜の空気が肺を満たした
そのまま歩いてみる
静かでいい夜だ
「きゃあああああああああ！！！」
耳を貫くような悲鳴が響いた
遠くを見ると、複数の人間がヨハネの四騎士に追われている
全員子供だ
「っ……」
助けなければ
地面を強く蹴る
すると、自分でも信じられない程の速度で脚が動く
…疾い…これなら東京まで一時間足らずで行けそうだ
「…第四の騎士か」
かなり生命力の高い厄介な奴だ
「助けて！！」
少女が叫んだ
「馬鹿！叫んでる暇があったら走れ！！」
無理だな…彼等では逃げ切れない
「来い…雪鬼」
白く輝く刀が現れる。私はそれを掴み、騎士の腕を切断した
「…え？」
「きゅ…吸血鬼！！」
子供達は驚く
騎士は腕を切断されても動き続ける…まるで人間を殺すためだけに生きているかのように…
「…しつこい」
騎士の体をバラバラにする
そして、数秒後には辺り一面に肉塊と血が飛び散り、子供達は怯えきった目で私を見ていた…化け物を見る目で…
「……」
ここまでなのか…
吸血鬼になった自分の力は…想像を絶するものだった…
今までの修行は何だったんだと思うくらい…あっさりと力を手に入れてしまった…
私は子供達を置いて歩き出す
彼等はこれからも人間として生きていく
笑って…泣いて…喧嘩して…仲直りして…支え合って…
人間らしく…生きていける…
「あ…あの…」
一人の少女が呼びかけてくる
「ありがとうございました！」
驚き、振り向く
子供達は、先程とは違う目で私を見ている…私が彼等の血を飲もうとしなかったからだろうか
そのなかでも一番最年長であろう１２歳くらいの少女が歩み寄ってきた
「あの…よかったら血を…」
そう言って首筋を見せてくる
「せめて…お礼を」
その綺麗な肌を通る血管が…とても美しかった…
自分の瞳がそれを見つめているのを感じる
それがとても嫌だ
「…いらない」
「え…」
身を屈め、少女と視線を合わせる
「私は…君達の血は飲めない」
そう言うと、何故か少女は笑顔を浮かべた
その笑顔が…とても可愛らしかった…
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InaNyan(プロフ) - 全てよみました。体調に気をつけて下さい。待ってます。 (2018年7月23日 21時) (
レス) id: 7122b96239 (このIDを非表示/違反報告)
依紀 - 今日はじめて読みました！体調のほうは大丈夫ですか……？この作品、とても気に入りました！色々と応援してます！頑張って下さい！！ (2018年4月14日 19時) (レス) id: f149e1f30f (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 朔夜さん» コメントありがとうございます！頑張って更新します(≧▽≦) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - すごく面白いです 更新頑張ってください (2017年1月5日 12時) (レス) id: 184ba2587c (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 狼鬼さん» は、はいっ！頑張らせていただきますっ！！(≧▽≦) (2016年10月22日 16時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：★ホームランバッター☆ x他1人 | 作成日時：2016年8月31日 19時
