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15,走る亀裂 ページ16

…………何…………コレ…………



何が……起こっているの……?



『ううっ……あつ……むぅ……』



ただ嗚咽と一緒に彼の名前を呼ぶことしか出来ない自分が


すごく


悲しくて……


「最初と用件変わってもうたけど、この際やからハッキリ言っとくわ」


冷めた顔をしたアツムが


とても


怖い


「カリン、お前……ホンマに馬鹿な女やな」


『……うぁ……あぁあぁぁああぁ……』


ただただ、泣くしかない


泣くしかできない


(違うのに……そうじゃないのに……)


何で


何で言えないの?何で否定できないの?


なんで


なんで……


「ははっ、なんや、ホンマのこと言われて泣くしか出来へんのか」


そんなアツムの言葉に


馬鹿にしたようなその言い方に


私の中で


何か


張り詰めていたものが


切れた


「お前はホンマにお子ちゃまやな」


気がつかない間に


手が出ていた


私の手が


アツムの整った顔を


叩いた


パチンッ


乾いた音が響く


「…………何すんねん」


目の前が霞む


体から力が抜ける


喉の奥がヒリヒリして


自分が息をしているのかさえわからなくなった


そんな中で


私は


"ある言葉"を紡ごうとしていて


でもその言葉は


今まで私が言えなかった


言いたかった"言葉"とは


違った


『もう……いいよ……』


ダメ……その先は……


言っちゃダメ……


『疲れちゃった……』


ソレを言えば


たぶん、もう、戻れなくなる


だからダメ……お願い……


言わないで……言っちゃダメ……


そんな切実な願いとは裏腹に


私は


ハッキリと


涙で霞んだ大好きな人を見据えて


言い放った



『アツムなんて……




……好きになるんじゃなかったっ!!!』



生まれて初めて


"自分の気持ちに本気で嘘をついた"


「っ…………」


目を見開いたアツムの横をすり抜けて走った


鞄を抱きしめて


ひたすら


走った


すれ違う人達の視線も気にせず


泣きながら


走った



(ごめん……ごめんなさい……ごめんなさい)



結局、最後まで伝えることの出来なかった言葉を心の中で叫びながら


私は走り続ける


(ごめんなさい……ごめんなさい……)


今更伝えられるハズがないのに


ホントに……アツムの言う通りだよ……


私は馬鹿で……お子ちゃまで……


嫌われても


「おかえりカリン。今日は遅かっ──」


お母さんを無視して部屋に飛び込む


あぁもう……最悪……









『ごめんね……アツム……』

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★ホームランバッター☆(プロフ) - すみません…((´・ ・`))頑張ります! (2019年1月19日 22時) (レス) id: fc195e5c2a (このIDを非表示/違反報告)
しと(プロフ) - 続きまだですか? (2019年1月13日 2時) (レス) id: cf72176a83 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - カイヤお前イケメンやん‥‥。・゚・(ノ∀`)・゚・。 (2017年6月9日 0時) (レス) id: 7de5b7484a (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - あやさん» ま、マジすか("⌒∇⌒")あざーっす!! (2017年4月30日 19時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
あや - うむ、なかなか良いぞ (2017年4月30日 18時) (レス) id: 80d5eb12dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:★ホームランバッター☆ x他1人 | 作成日時:2017年4月19日 23時

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