俺もお前も意地っ張りやな【宮侑】 (ページ15)

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１４，すれ違いページ15

「おい」

俺は耐えきれずにカリンに声をかけた

当然、カリンは驚いてその場で歩を止める

『！……アツム……？』

久し振りに

大好きな声で名前を呼ばれた

けど

何で…こんなにムカつくんやろ…

『どうして、ここに？今って……部活の時間じゃ……』

「抜けてきたんや」

クソ……頭ん中が何やドス黒いもんに埋め尽くされてるようで

今自分が何を言うてるのかさっぱりわからん

ただ聞こえるのは

カリンの声だけで

ただ見えるのは

カリンの顔だけで

いつも見てたはずなのに

いつも触れてたはずなのに

その存在が

有り得へんくらい遠くに感じて

『な、なんで？』

「お前に用があったからや」

『え……』

カリンの顔が少しだけ緩む

でも今の俺には

それよりも

そんなことよりも…

『わ、私もアツムに言いたいことが…』

口を開きだしたカリンの言葉を

俺は

遮った

『こ、この前は…「なんや、もう新しい男できたんかいな」………………え？』

何かを言ったつもりはなかった

なのに、

カリンが

『な……え？なん……の…こと……？』

(何で、震えてるんや)

そんなことを考えている頭とは真逆に

俺の口からは勝手に

次々と言葉が吐き出される

「アイツ、お前と同じクラスの羽鷺カイヤやろ？なに、お前あんなの好みやったん？」

『あ、あんなの…って……カイヤはただの友達で……』

「ええって。言い訳せんでも。
そりゃそうやろなぁ、俺なんかより一緒に笑ってくれる阿呆の方がよっぽどええよなぁ」

カリンの顔がみるみる崩れだす

けど

止まらへん

「はぁ……ま、ええで？別に
俺もバレーで忙しいし、他の男に乗り換えても」

『そんな……アツム……』

カリンの頬を涙が伝う

「は？何で泣いとるん？そんな顔しても誰も同情なんてせぇへんで？」

『ち……ちがっ……違……うよ……』

下唇を噛み締めて、小刻みに震とる

酷い顔やな

(待て……俺か……？俺が……カリンをこんな顔に…)

自分の中で警報みたいなもんが鳴る

(アカン……これ以上はアカン……)

そんな理性の抵抗も虚しく

俺の口は止まらんかった

止まれんかった

「何が違うん？てか、揉めてる最中とは言え、彼氏持ちやで？それなのに他の男とこんな人気の無いトコロで密会か？」

『…アツム……やめ……やめてよっ……
こんな……こんなの……』

顔を両手で覆って嗚咽を漏らすカリンを

俺はただ

見下ろしていた