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降谷「……Aはもしかして僕の事をからかっていたのか?」
A「……え?どういう意味ですか?」
全く覚えがありませんというように目を見開くAを見てさらに怒りの感情が込み上がってきた。
降谷「わからないのか?ああ、Aにとってはそうなのかもな。じゃあ分かるように言おう。あの約束もAには本当は好きだとかそういった感情は無くて、僕をからかいたかっただけじゃないのか?って言っているんだ」
彼女は更に目を真ん丸にして珍しく声を荒げた。
A「……っ!ち、違うんです!本当に!」
ああ、分かっている。Aの顔を見ていれば。
だけど、言いたくもない捻くれた言葉ばかりを彼女に言ってしまう。
僕はAとずっと一緒にいられると勝手に思いこんでいた。
そう、『勝手』に、だ。
降谷「違う?何が違うというんだ?Aはさっき謝るばかりで約束の事には一切触れていなかったじゃないか。それは、Aにとって都合の悪い事だったからだろう?」
やめろ!そんな事が言いたいんじゃない!
A「……確かに、そう思われてしまっても仕方がないですね。あの約束をしようと言ったのは私なのに急に海外に行く事になったって言って、そして、もう今日でお別れしようなんて……。いくら都合があっても、我ながら最悪な人間ですね」
降谷「……分かってるのならそれで良いじゃないか。急いで準備しないといけないんだろう?ならもうお別れだ」
違う!違う!違う‼そうじゃないだろう!?Aだってもっと辛い思いをしながら僕に別れを告げた筈だ。なら、最後くらい彼女を笑って見送らなくてどうする!?
それなのに、どうして彼女に散々酷いことを言い、彼女に背を向けてしまったんだ……。
ああ、僕はなんて馬鹿なんだろうか。
ここまで来てしまったらもう後ろを振り返らずに彼女から遠ざかるしかないじゃないか……。
先程彼女が言っていた言葉が僕の心で反響する。
『我ながら最悪な人間ですね』
最悪な人間は彼女ではない。
本当の最悪な人間は、
意地を張ってAに優しく別れを告げる事も出来ない
僕の方だ
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みつる(プロフ) - イアデビルさん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてすごく嬉しいです!溜まった用事が終わり次第更新していく予定なので、是非これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2020年4月29日 0時) (レス) id: c059687b79 (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - とっても面白いです!更新待ってます頑張ってください (2020年4月28日 16時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつる | 作成日時:2020年1月9日 19時