【d!】可変に笑え (ページ32)

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「僕もあいつについてはそんな知らないっすよ。苗字だって今朝知りました。失礼します。」

自分の食べたゴミだけを持ち、いつの間にか昼休みの終わりを差している時計に視線をやってから席を離れていく後輩を見て、未だにおにぎりを咥えているゾムの真正面に座る

「え、大先生？いたの？」

「おん、はじめから見とったけど。」

「ほーん、なんで話しかけてくれなかったん？」

「いやメッセージ送ったけど、そっかブロックされてんのかおれぇ！」

最後のおにぎりを猛スピードで詰め込むと、スマホを取り出し通知を確認する
通知欄には確かに「塩戸君と仲良かったん？」というメッセージが表示されていた
どうやらブロックはされていなかったらしい

「なぁ大先生。」

「なに？」

「トントンから貰ったんだっけ、チケット。」

「女子校の文化祭の話？それならオスマンだけど。」

「あ、マンちゃんか。誰と行くん？」

その質問に思わず硬直する
これは正直に言っていいものなのだろうか
我が親友のためには黙っておいた方が良いだろうか

「大先生？」

「シッマやで。」

フードの陰からニタリと歪んだ口角を見てしまえば、言わざるを得なかった
すまんシッマ、勝てんかった

授業開始のチャイムが鳴った瞬間に教室へ向かい走り始めたが、良いことを聞いたと言わんばかりの満面の笑みを浮かべているゾムに震えが止まらなかった