４ ut ページ4
.
「あー新入生今日から来るんやった？」
六限目の授業が終わり、「塩戸君迎え行ってくる！！」と叫んだ捏島を見送った後ロボロに引っ張られるように生徒会室へと連れていかれる
あぁ今日はマイカちゃんとデートがあったのに...と後ろ髪を引かれる思いで扉を開けば中にはいつものように隈を作っているトントンと、そのトントンが座っている席に群がる様にして話を聞いている見慣れない姿達があった
この光景には見覚えがあり、去年のこの時期には自分たちが群がる様にして聞いていた光景を未だ覚えている
とはいえ、あまり話を聞いていなかった身からすれば面倒そうだなぁというような感想しか出ない景色だ
「おい、新入生見とるやろ。シャキッとせぇ！」
「うるさいわロボロ、大丈夫やって。トントンが全員教育してくれっから。」
「お前がされてないんや、自覚しろ！」
背中を叩かれ叱責されていると、トントンの話に集中できなくなった新入生の立候補者一部がこちらを見ているのが見えた
ファンサービスという名のウィンクをすれば、再び背中に衝撃を受ける
顔を赤くしたり、反対に顔を歪めたりしている子たちが見えるが、どちらにせよ話に集中しない時点でトントンから候補を外られるだろう
あぁ可哀想に、なんて心にもない事を呟けば先ほどから叱るだけ叱ってくるロボロに心が無いと言われる
「お前のが心無いわ。」
「は？」
天と書かれた紙面があるにも関わらず、こちらを睨んでいることが分かってしまうのは親しい友人になったからだろうか
その考えは感動物語のようなものだが、相手が男であると思うとなぜだか吐き気が出てしまう
先日二人の助けのお陰で何とか処理することができた書類の束を見つめてため息をついた
「新入生。」
「ん？」
「入れんの、アイツくらいやない？」
こちらに視線を向けながら一緒に新入生の様子を見ていたのか、ロボロが指で一人の新入生を示す
ここからでは後ろ姿しか見えないが、背が高くひょろっとしている
確かに彼は初めからこちらのほうに目線を向けることなく、トントンの話だけに集中していた
「ほーん、まぁこっちに害がないならだれでもええわ。」
「基本的に大丈夫やろ。お前の彼女にさえならなければな。」
「ハッ、これだからどうて「黙れ！」...はいはい。」
怒り心頭のロボロをどうにか宥めて椅子に凭れ掛かる
先ほど後ろ姿を見た彼が何故か視界にチラついていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
