砂糖多めで (ページ6)

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匂いで紛らわすページ6

⚠︎年下彼女

『……遅いなぁ。』

もう日付が跨ぎそうなのに中々帰ってこない京極さん。

今日は仕事で大きなミスをしてしまったのでその傷を埋めてもらいたく急いで帰ってきたは良いものの、肝心な彼が居ないのであれば意味が無い。
心はすっかりブルー。

早く晴らして欲しい、会いたい、寂しい。

『………あ』

目に入ったのは京極さんが朝着ていたトレーナー。

寂しさが頂点まで達していた私は思わず手に取りそのトレーナーに顔を埋める。

…京極さんの匂いだ。落ち着く。

トレーナーの袖を首にふんわり巻いてみたり、抱きついて思いっきり匂いを嗅いだり、我ながら気持ちの悪い事をしているなと思う。

会いたい気持ちが加速し始めてきた。一旦落ち着こう。

『はぁ……まだかなぁ…』
｢そやなぁ。｣
『ん"ｯ……！？！？』

え、え、嘘、いつから、え、？いつの間に、え、？

『い、いつから帰って来てたの…？』
｢んー？Aが俺のトレーナーで首巻いてた時？｣

嘘じゃん、一番気持ち悪いところ見られてたの…やばい、恥ずかしい…を超えて消えたい…

｢そっちこそ、俺のトレーナーで何しててん。｣
『い…やぁ…その、なんというか…』

あまりにも情けない行動すぎて話したくないのだが京極さんは逃がさんとばかりに目を合わせようとしてくる。
肩を掴まれ、段々顔が近づく。ニヤニヤと笑い「何してたん、なぁなぁ、なぁて。」と急かす彼。
私は堪らず顔を背け、彼の肩を押すもビクともしない。捕まってしまった私は全てを諦め話すことを決めた。

『…〜ｯ！話します…！話しますから離れてください…！！！』
｢口塞がれてんとちゃうねんから離れなくても話せるやろ。ほらはよ。｣

確かにそうだけど…！こんなに距離が近いのは慣れてないし、心拍数は上がってるし、変な汗かいてきたしでパニックだってば…

そんなことを思いながらゆっくりと、変にならないよう気をつけながら言葉を紡ぐ。

『えっ…と、その……さ、びしくて、』
「おん。」
『京極さんが朝着てた服があった、ので…』
「はいはい。」
『…匂い、を…嗅いでました…』

言ってしまった。恐る恐る目線を上げると意地悪な顔がそこにはあって…