君のピアニッシモ ページ3
⚠︎お互いタメ口
京極side
『風斗、私にも一口吸わさせて』
ベランダをガラガラと開け、寒い寒いと言いながら隣に来た彼女。
「…お前煙草吸えへんやろ」
『お願いお願い、私も吸いたい』
「はぁ…一回だけやで？」
彼女の肺を汚したくはなかったが一度くらいならカウントされないかと思い、灰を落として彼女に渡す。
『わーい』と言いながら慣れた手つきで煙草を指に挟む。
口元へ寄せ一吸いする姿が妙に色っぽい。
…慣れた手つき？
『……ｺﾞﾎｯ…ん"ー、やっぱり苦いね、私には向いてないや』
…普通もうちょい咳き込まん？しかもちゃんと肺に入れるやん。
「…ちょっと」
『ありがと、もう吸っていいよ』
「いや、ちゃうちゃう、」
『何、どした』
「なんか、慣れてへん？初めてちゃうの？」
『あーれ…言ってなかったっけ？私元々吸ってたんだよ』
「え、そうなん…？初めて聞いたんやけど、いつから？」
『えっと、風斗と出会う…前、かな？』
「へぇ。」
あはは、と苦笑する。夜風に吹かれ綺麗な髪がなびく。切ない笑顔と相まってそのまま消えてしまうのではないかと思い、少し怖くなる。
『実はね、風斗のおかげで辞めれたんだよ。』
「…俺？」
『そうそう。風斗と出会う前ね、すっごく仕事が辛くって、逃げるように煙草吸ってたの。』
『でも風斗と出会ってから毎日が幸せで、煙草のことなんか忘れるぐらい夢中になっていったんだ。』
「…そうなんや」
さっきの切ない表情は消え、出会った頃を思い出しているのか幸せそうな顔をしている。
そういう俺も自然と口角が上がる。
『だから…ありがとうね。』
「ん、こちらこそ。俺も幸せ。」
『あはは笑、なんか恥ずかしいな。』
俺はそのままAの腰に腕を回し、
「なぁ、もっとAのこと知りたいから聞かせてや。出会う前の頃とか全部。」
『え、いいけど…風斗も話してよ？』
「もちろん。寝ずに聞いてや？」
『それはちょっときついかもー』
「なんでやねん笑、まぁとりあえず中入ろか」
『だね、冷えちゃった』
煙草の火を消して部屋に戻る。
暖かい部屋、少し苦い過去、これからの甘い話。
今日の夜は長くなりそうだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
2作品とも彼女のこと知らなさすぎてすいません。皆さんで彼に教えてあげてください。
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作者名：碧音 | 作成日時：2024年2月16日 8時
