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JS side
慣れないビルの中でそんなに遠くに行っていないだろうと、走った。きっと彼女のことだ、どこか1人になれる狭くて暗くて、座れる場所。
｢ーーーーーA、｣
『冷た！......やー、シュアか、』
はぁとため息をつく彼女は、首に当てたポカリスエットを素直に受けとった。しかし、それを飲もうとはしない。
目の下の隈なんて、ほかのメンバーにもあるしそれを隠すために化粧が厚くなるのはアイドルだったら誰しもそうだ。しかし、彼女の場合目だけじゃなく、唇や肌の色を誤魔化すようにいつも使っている色より更に明るく派手な色を使っている。
半年くらい前までは、人より肌が焼けていてどのカラーファンデーションを塗って化粧しているのか、と思っていたのに今ではすっかり真っ白通り越して青く見える。今着ている白の衣装から、伸びた腕は余計な肉がなくなり、ぶつかってしまえば折れちゃいそうだ。
病的な白さと、細さに彼女の誤った努力が伺える。
｢今日は何を食べたの？｣
『......トマトジュース、とジフナがくれた飴。』
繕うように笑った顔は、年相応以上のシワを目立たせた。
こんなの、僕が知っているAじゃないよ
なんて言えたら良かったのに。今更ながらお互いに話さなかった過去を後悔する。最初の出だしはフランクに挨拶できたのに、気づけば距離ができていた。
スンチョルだったら、ジョンハンだったら。
『誰にも言ってないの？うちのこと、』
｢言ってないよ、言って欲しかった？｣
そう言うと彼女は首を振り、短くなった髪の毛を少しいじる。ついこないだまであった髪の毛は気づいたら肩までの短さになっていて、事務所がどこかの誰かと双子売りをしようとしているのは見え見えだった。
『本番は迷惑かけないようにするから、もう少しだけ内緒にしてて。』
｢もう本番だけど。｣
『アッキンダが終わるまで、』
｢じゃあそれ飲んでよ。｣
指を刺したのはさっき渡したペットボトル。
『うち飲み物しか飲んでないんだけど、』
｢どうせ食べないんだから、どの道飲み物でしょ。｣
『ジョシュアってこういう時すごく嫌な奴だよね。』
｢弟たち、特にジュニやディノは何となく察してるよ。迷惑をかけないで。塩分とって、元気に最後踊って終わりにして。｣
『あーい。』
気の抜けた返事をした後、言われた通りに口いっぱいに飲料を含む。彼女の少し緩んだ指輪が光ったように見えた。
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作者名：もく�� | 作成日時：2023年3月13日 22時
