孤独な羊に⬛︎を添えて 4 (ページ5)

今日:7 hit、昨日:29 hit、合計:469 hit

・ページ5

「だったら俺がお前の兄貴になってやるよ」

「……えっ？」

ユウはきょとんとした顔で俺を見つめる。

(あ、しまった)

俺はつい出てしまった言葉に戸惑いを隠せなかった。

でも、これだけは伝えたいと思った。

「お、お前は俺がいないと駄目だからっ……だから、その……」

言葉に詰まる俺の姿を見てユウが笑う。

そしてユウが俺に飛びつきながら言った。

「じゃあランスおにーちゃんは僕のお兄ちゃんだ！」

(……兄貴)

俺には縁のないものだと思っていたが、存外悪いものではないようだ。

それから俺は友達、ではなく、ユウの兄貴としてユウの傍に居続けた。

、

俺たちのこの関係はユウが中学一年に上がるまで続いた。

いつの間にか俺は23歳になっており、アルバイト先を転々としていた。

そのころから、ユウにとある異変が見られるようになった。

ある日を境に学校に行く度に傷が増えていっているのだ。

最初のころは足の痣から始まり、気が付いた時には全身包帯や絆創膏、傷パッドだらけになっていた。