・ ページ23
「…違う…僕は、変わってない。ずっと、変わってないよ」
僕は絞り出すようにして、イリアに言った。
しかしイリアは首を横に振る。
「嘘だ嘘だ嘘だ!」
「兄さんは僕の事好きって言ってたでしょ?だったら僕の言うこと聞いてよ!!なんで、なんで僕の気持ちを分かってくれないの!?」
イリアは僕の方に駆け寄ってきた。
「僕は兄さんと離れたくないだけなのに……なんで分かってくれないの?」
(離れてほしくない)
そんな弟の言葉に思わず心が揺らいでしまう。
でも、僕の帰るべき場所はここじゃない。
僕はその誘惑を振り切るように頭を振ると、イリアの方を向いた。
しかしそこで、僕の目に飛び込んできたのは予想外のものだった。
(……イリア?)
そこには、両目に血涙をたたえて震えるイリアの姿があった。
イリアは力なく呟くように答える。
しかしそれはハッキリと聞こえた。
僕には何が起こっているのか分からない。
ただ、僕に対するイリアの態度が急変したことだけはわかる。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年12月6日 7時