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次の瞬間、僕の後方で何かが刺さったような音が聞こえた。
(なんだ?)
僕は後ろを振り向くと、自分の真後ろに鋭利なナイフが地面に刺さっていた。
「なんで僕の言う事を聞いてくれないの?ねぇなんで、どうして、どうして」
イリアは苛立ちを隠そうともせず、僕の真後ろにナイフを投げたのだ。
僕は一歩も動けない。
殺気だ。
(ああ、そうか)
これは僕が知っているイリアじゃない。
僕が知っているイリアは、僕にこんな表情しない。
僕に対して攻撃的な感情を向けることなんてあり得ない。
イリアはどうしてこうなってしまった?
「僕はこんなにも兄さんのことを考えているのに!!どうしてわかってくれないの!!」
…僕が悪いんだ。
僕が、イリアをこんな風にしてしまった。
僕には帰るべき場所がある。
でも、僕の選択が弟を傷つけることになってしまうかもしれない。
「誰?兄さんを変えてしまったのは誰なの?教えてよ兄さん」
イリアは一歩、また一歩と僕に近づきながらそう言った。
……怖い 僕はただ、そう思った。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年12月6日 7時