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「まずは自己紹介をさせてくださいよ」
道化師はにっと笑うと自己紹介を始めた。
「僕はマトヴェイ・コラットと申します。どうぞお見知りおきを」
、
(なんか……胡散臭いなぁ)
ユウはコラットの笑顔を見てそう思った。
話し方や口調はウィリーと似ているのだが、コラットはどこか胡散臭い雰囲気を持っている。
なんというか、笑顔がわざとらしいのだ。
「君たちがここに来た理由はつまり!隠し部屋の鍵のヒントが知りたいってことだよね!」
「ああ」
コラットはランスに握手を求めると、
「それなら特別に、このコラット様が教えてあげましょう」と言った。
(……やっぱり胡散臭い)
ユウはそう思いながらもコラットと握手を交わした。
すると突然、コラットの目が怪しく光った。
(何……?)
そう思った次の瞬間、あたりの風景が一気に明るくなった。
薄暗い図書館の面影はない。
三人の周りに広がるのは踊るぬいぐるみや、チェシャ猫の笑い声が響いたり消えたりする不思議な空間だった。
「おい……なんだよこれ」
ランスは戸惑ったようにあたりを見渡す。
しかしコラットは気にも留めず、優雅にステップを踏み始めた。
「さぁさ、こっちに来てください」
ランスとユウが恐る恐る近づくと、コラットはぱちんと指を鳴らした。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時