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砂を踏む音が段々大きくなっていく。
(誰だ…?)
しばらく様子を伺っていると、その足は俺の目の前まで来た。
またチンピラが喧嘩でも売りに来たのか、と少々苛立っていると、俺の頭に何かが触れた。
「なんだこれ」と思っていると、俺の目の前に立っている奴がくすくすと笑った。
居ても立っても居られず、目を開けると、そこには昨日の羊のガキがいた。
「…何してんだ、オメェ」
俺の声を聞いた途端ガキは吃驚したのか目を真ん丸くさせた。
まるで鳩が豆鉄砲でも食ったかのように。
「あれっ起きてたの?」
「…ずっと起きてたわ、んで、何してんだ」
「お花のかんむり作ったから、おにーちゃんにあげようと思って」
かんむり?と俺は自分の頭に手を当てると、ガキの言ってた通り確かに俺の頭に何かのっていた。
それを外して見てみると、どうやら俺の頭にのっていたのはシロツメクサで作られた花の冠だった。
白くて小さな花があしらわれた、可愛らしい冠だった。
俺みたいな奴には花なんざ似合わねぇよ。
「…なんでこんなモンを俺に」
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時