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一人取り残された俺は野次馬を除け、反対方向に歩き出した。
さっきよりも日が傾き、太陽は向こうの山に半分ほど沈んでいた。
まだ帰れないなと思い、俺は近所の公園に入る。
もう夕方だからか、公園にいる人は少ない。
公園のベンチに座って、一息ついた。
俺は一生このままなのか。
これからもずっと母親から逃げなければならないのか。
家を出れるものなら今すぐに出たい。
しかし俺には金も無ければ頼れる親戚もいない。
一体、どうすればいいんだ……。
そんな時、誰かがこちらに走ってくる音がした。
人影が段々俺に近づいてくる。
(なんだ…?)
俺が顔を上げると、そこには一人のガキが立っていた。
小学生に上がったくらいの小さいガキだ。
こめかみの辺りから羊の角のようなものが生えている。
そのガキは不思議なものを見るような目でこちらを見ていた。
俺は突き放すように言う。
「…なンだよ、あっち行ってろ」
ガキは嫌いだ。
気に入らないことがあればすぐに癇癪を起し、すぐに泣く。
俺はため息をつき、空を見上げる。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時