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俺はそれを聞いて、冷や汗が流れるのを感じた。
(こいつ……さっきのことを覚えてないのか……?)
イリアは俺の方を向くと首を傾げ、「ね、ランス」と言った。
*
それからというもの、俺は完全にイリアが苦手になった。
彼奴はモノを壊すことに対して抵抗が無い。
なんでもかんでもすぐ壊す。
そして一度欲したモノへの執着も度が過ぎている。
その時は花だけで済んだが、彼奴の行動がエスカレートして、いつ本当に人に手を出すか分からない。
考えれば考えるほど、イリアが恐ろしい存在に思えてきてしまう。
しかしユウはこのことは知らない。
万が一知ってしまったとして、彼奴は相当ショックを受けるに違いない。
ユウの中のイリアは、あくまでも表向きの「優等生」。
優しいイリア、気が利くイリア、聞き上手で話し上手なイリア。
ユウが知っているイリアは正に「善人」にすぎない。
だから俺は、このことをユウに伝えられない。
しかしユウがイリアに傷つけられてからでは遅いのだ。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時