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イリアは恍惚とした表情を浮かべながらもう一度言った。
「こんなに、美しい花を咲かせてくれてありがとう」
(お前は一体何を言ってるんだ……?)
ランスにはさっぱり理解できなかった。
しかし、イリアの目は本気だった。
……こいつは本気で言っているのだ。
(狂ってやがる……)
ランスは思わず後ずさる。
その瞬間、床に落ちていた花の茎を踏みつけてしまったようで、パキッという乾いた音が部屋に響いた。
(やべっ……!)
その音を聞いて初めてランスの存在に気付いたイリアは、ランスの方を向く。
「嗚呼、ランス、来てたんだ、声かけてくれればよかったのに」
そう言ってイリアは嬉しそうに笑った。
「…お前、何して」
「これ?ふふっすごく綺麗だよね?」
「……お前どうかしてるぞ」
俺がそう言うと、イリアはきょとんとした表情になった。
そしてくすくすと笑い始めたかと思うと、次には腹を抱えて爆笑しだした。
(なにがそんなにおかしいんだよ……)
ランスが困惑していると、イリアは笑いながら言った。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時