・ ページ31
Cとその取り巻きはカイリが弱っているのを確信し、殴る、蹴る等の暴行をカイリに繰り返していた。
主は泣きながらカイリの名前を呼んでいる。
(主が呼んでいる……行かなくては……)
しかし、Cとその取り巻きは一向にカイリから離れようとしない。
それどころかますます力を込めて殴り、蹴りをいれてくるのだ。
自分の身体から骨の折れる音がし、あまりの痛みに意識が飛びかける。
(痛い、苦しい、憎い、人間どもが憎い、殺してやる、殺してやる)
カイリは霞んでいく視界の中でそう思った。
「━━━━━━━━━━カイリッ!!」
*
カイリはハッとしたようにユウを見た。
そして、呟く。
「……主」
(目の前にいる人間…それは…私が、守りたかった主)
カイリは自分の中に何かが戻ってきたような気がした。
(そうだ、私は……主の幸せを願っていた)
(主が幸せであれば、私も幸せだった)
それはずっと忘れていた思い。
(そうだ……私の主はこの人間だ)
カイリの目から涙が流れ出す。
(何故こんなにも大切なことを忘れていたのだろう……)
「……主…会いたかった、です」
「!カイリ……!」
カイリの目に光が宿る。
ユウは涙を流しながらカイリに抱きついた。
「そんな、私には主に触れられる権利などございません…!主に傷を負わせてしまった自分など…」
「カイリは悪くないよ。…大丈夫、大丈夫だから…」
(…温かい……)
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時