孤独な羊にIを添えて 3 (ページ28)

今日:34 hit、昨日:5 hit、合計:570 hit

・ページ28

「カイリ」

「！！」

カイリがユウを見ると、ユウはまっすぐとこちらを見ていた。

その目はとても力強く、優しい目をしていた。

(ユウ…ユウ…？)

カイリの頭の中で点と点がつながった気がした。

＊

「カイリ！帰ったよ！」

(主…！)

夕方、いつも通り庭で主の帰りを待っていると、主がこちらに向かって手を振っていた。

主はいつも優しい顔をしており、私はその顔が大好きだった。

カイリは嬉しさのあまり主に体当たりするような形で飛びつく。

主はそんなカイリの頭を優しく撫でて、優しく微笑んだ。

(…主の腕)

カイリは自分を撫でている主の腕に包帯が巻かれていることに気が付いた。

(これは……？)

カイリは無意識に主の腕に頬をすり寄せる。

「！カイリ、心配してくれてるの？
有難う、でも大丈夫。これは転んでできた傷だから」

主は包帯にそっと手を置くと、そのままカイリの頭を撫でた。

主の体温が心地よい。

(私は……主に抱きしめられるのが好きだった)

(主の笑顔が……何より好きだった)