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ランスが慌ててユウに駆け寄った。
その様子をカイリは呆然とした様子で見ていた。
「...主...？」
カイリがポツリと呟く。
「……これは……」
「っ、ユウ！大丈夫か！？」
(...なんか……変だ……)
カイリは自分の心の中にある、何かが変わったような感覚に陥った。
それが何なのかはわからない。
ただ、今まで感じていた黒いものがなくなっているような気がする。
「……私は……一体……」
カイリはそう呟いてその場に立ち尽くす。
カイリの首元には赤い糸が巻きついており、街灯の明かりに照らされてぼんやりと光っている。
「……ユウ、なんで……なんでお前」
ランスは動揺を隠せない。
(あと一秒遅かったらユウはこいつに殺されてたかもしれないんだぞ！？それなのに、ユウは)
「カイリ」
ユウはカイリに向かって手を伸ばす。
その手を見て、カイリはハッとしたように目を見開いた。
「なんだ……この胸のざわめきは……」
(私は今まで何の為に生きてきた？私がこんなにも人間を排除しなければならないのは……何故？)
カイリは無意識に自分の剣を落としていた。
(…そうだ、私はただ主のために……主にさんざん暴力をふるっていた輩が許せなかったから…)
(なのにどうして、こんなにもこの人間に剣を向けられない？人間が血を流したところで、今までの私はこんなに狼狽えることは無かった…)
カイリは混乱していた。
(私は……何かを忘れている…？)
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作者名：あまちゃん | 作成日時：2023年11月20日 6時
