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ユウはそれに微笑み返す。
それは、ランスが今までユウを騙してきた理由に対して、「疑ってごめんね、ありがとう」とでも言うような顔だった。
ランスは目を見開き、ユウを見る。
「ユウ...」
「...そうか、お前は人間の味方をするのか━━━━━━━━━━━━━━━なら、今ここで二人とも消えろ」
「!」
カイリは二人に向かってもう一度剣を振りかぶる。
しかし、ランスは構わず話を続ける。
「...なぁカイリ、お前だって散々こいつに世話になってんだろ、忘れたとは言わせねぇぜ。
いつもうめぇ飯貰って、沢山撫でてもらって、声掛けてもらって、幸せもんじゃねぇか.....こんなに可愛がってもらって、飼い主の顔を忘れたのか?」
「...主?」
カイリは何かを思い出したように、少し動きを止める。
しかし、それは一瞬の事ですぐにまた剣を振りかざした。
(……ダメ!)
ユウは咄嗟にカイリに向かって走り出し、二人の間に割って入った。
それはカイリの剣がユウの頬を掠ったのとほぼ同時の出来事で、ユウの頬の切り傷からはツウッと血が流れ、そのまま後ろへ倒れ込んだ。
(あ……血⋯?)
頬に手を当てると、生暖かいものが手についた。
じわじわと痛みが広がっていく。
「っ!ユウ!!」
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時