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ユウが何かを思い出そうとしていると、ユウに向かって振り下ろされたカイリの剣が鈍い音をたてて弾かれた。
二人の間に割って入ってきたのは、ユウをかばうように立ちふさがるランスだった。
「俺の弟に手ェ出すんじゃねぇよ」
ランスの只ならぬ殺気にカイリは少し動揺した。
「…確かに俺は殺された身だ、もちろんそいつらのことは嫌いだし許せねぇ、けどよ、俺が今まで生きてきた中で一人、スゲーいい奴に出会ったんだ。
そいつは当時どうしようもねぇチンピラだった俺を、居場所が無かった俺を、いやな顔一つせず受け入れてくれた。
そんな良い奴もいるんだって、こんなどうしようもなく暗闇の中でも、光はあるんだって、…そう思えたんだよ」
「それがこいつ…ユウなんだ」
ランスは苦しそうに笑った。
「俺はユウをここから出してやりてぇ、ユウはこんな所で死ぬべきやつじゃねぇ。
今までの恩返しをしてぇと思ったから、俺はユウを助けることにした。」
「...!」
「こんなこと、今までユウを騙していた俺が言えたことじゃねぇけど…本当に、ありがとうな、ユウ」
「感謝してるぜ」
ランスの顔を見て、ユウは確信した。
(そうだ、ランスお兄ちゃんが僕を裏切るだなんて、そんなことする筈が無い。)
(ランスお兄ちゃんは……僕を裏切ってなんかいない。僕を守ろうとしてくれているんだ。)
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年11月20日 6時