孤独な羊にIを添えて 3 (ページ16)

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当然いい気はしない。

書記を探すべく、ユウは本棚を一つ一つ隈なく探していく。

個々の部屋の本の背表紙を見ていく途中、ユウは「あっ」と声を上げた。

本と本の隙間に一つだけ小さめの本が押し込まれている。

茶色のブックカバーの本の背には小さな字で「アメリア」と書かれている。

「もしかしてこれが…！」

ユウはその本を引っ張りだし表紙をめくる。

そこには達筆な字で文章がつづられていた。

＋

【アメリアの書記】

私の名前はアメリア。

この世界に迷い込んでしまった人間である。

この世界は混沌と矛盾に満ち満ちており、ルールや秩序というものがまるで存在していない。

私が元の世界から持ってきたものと言えば、このノートとペンだけだ。

⋯

⋯

この本を君が読んでいるということは、君もこの世界に迷い込んでしまった人間なのだろう。

…そう願うばかりだ。

私は無事この世界から此岸へ帰還することができた。

この世界から此岸へ帰還するには、ずっと北にある洞窟までいかなければいけない。