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声の主を探してきょろきょろと視線を動かすと、少し離れたところに二つの赤い光が見えた。
その光は徐々にこちらへ近づいてくる。
少年は大慌てで隠れられる場所を探す。
だが、焦れば焦るほどうまく見つからない。
そうしている間にも、足音はどんどん近くなっていく。
相手に背中を見せないように後退りしていると、足の踵に何かぶつかった感触があった。
驚いで振り返ると、少年の足元にボロ布が落ちていた。
少年は我にも縋る思いでそのボロ布に潜り込んだ。
その直後、先程の声の主が現れた。
それも二人居る。
「あれ?さっき誰か居ると思ったらこんなところにお化けの子供がいるぞ」
「本当だ!どうしたんだろう。迷子かな?」
少年の前に佇む二人は獣人で、一人はキツネ、一人はウサギだった。
それぞれの胸元には同じデザインのワッペンが刺繍されており、背中には剣をさしていた。
「ねぇ君、大丈夫?」
心配そうな表情を浮かべて尋ねてきたのはウサギだった。
少年が無言のままこくりと小さくうなずくと、安心したように微笑んだ。
「……おい、お前が怖がらせるからだぞ」
「えぇー僕のせいなのぉ……?」
「そうだ」
キツネの言葉にウサギは不服そうにしている。
「……まぁいいや。それより早く帰らないと怒られちゃうよ。お家は何処?」
「えっ...と...」
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時