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必死に懇願するが、ヒトツメは首を縦に振ろうとしない。




結局最後までヒトツメは少年が弟を探しに行くことを許してくれないままだった。




「……今日ハモウ遅イノデ寝ルコトニシテクダサイ」




そう言うとヒトツメは部屋の明かりを消して部屋から出ていった。




真っ暗になった室内は静まり返り、外から聞こえてくる虫の音だけが響いている。




少年はベッドに横になると、頭の中でこれからのことを考えていた。




ヒトツメが言っていたように外に出るのは危険なのかもしれない。



でも、このまま何もせずじっとしているのはもっと怖い。




少年は布団の中でぎゅっと拳を握った。




「……絶対に弟を探すんだ……!」




決意を固めると、少年はベッドを抜け出し、部屋のドアに手をかけた。




少年はもう一度振り返る。




そこは殺風景なただの部屋だ。




ここに来てからまだ一日しか経っていないというのに、もう何年もここにいるような錯覚に陥ってしまう。




そんな不思議な感覚を抱きながら、少年はゆっくりと扉を開いた。




廊下は窓から入る月の光でぼんやりと照らされているだけで薄暗い。




辺りを見回しながら慎重に歩を進める。




「どこに行けば出れるのかな……」




まずは屋敷の探索をしてみようと思い立った少年は、階段の方へと歩き出した。




しかし、すぐに立ち止まってしまった。

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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時

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