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「とりあえず、お前はここから生きて帰ることを優先しろ。ハンターに見つかったらどうなるか分からねえからな」
「うん…ねぇ、ランスお兄ちゃん」
「ん?」
「ローリーとセレア…猫の子と天使の子見なかった?ここに一緒に来たんだけど……」
「猫と天使のちびっこか?それならこの屋敷に来る前に保護したぞ。お前を助けにこの屋敷に来たのもそいつらが教えてくれたからだしな」
*
「お兄さん待って!」
「あの屋敷に友達がまだいる筈なんだ」
*
「友達がまだこの中にいる、助けに行ってほしいってな」
「そう、なんだ」
ユウは少しホッとしたと同時に胸が熱くなった。
友達、友達…
ユウはかみしめるように何度も心の中で連呼する。
出会って間もないのに二人は僕のことを友達だと言ってくれた。
その事実がうれしくてたまらなかった。
だが、ランスはまた何かを考えるような仕草をして急に立ち上がった。
そしてバルコニーの窓ガラスに自分の背を付ける。
「…安心しろ、元の世界に帰れるまで俺もついて行ってやる」
そう言うとランスはユウの背中を優しく叩いた。
ランスの首に赤い糸のようなものが巻き付いていたのをユウは見逃さなかった。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時