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39:ティラミス ページ40

昼食を食べて2時間後。
三時を少し過ぎたくらいに食堂に顔を出せば、いつもは何か書き物をしていたが、今日は古びた本を真剣に読んでいた。



「Aちゃ〜ん?」

「あ、シャチさん、ベポ、いらっしゃい」


パッと顔を上げたAちゃんは、適当な紙を栞がわりに挟んで立ち上がった。


「大丈夫?顔色悪いけど……」

「ああ、ちょっと睡眠時間が足りてなくて…でも大丈夫ですよ、おやつ持ってきますからちょっと待っててくださいね」


にこりと笑みを浮かべ、厨房に向かったAちゃんは、白いプレートに乗った白と黒のコントラストが目に鮮やかなティラミス

「あれ?このティラミス白い…?」

「仕上げはこれからですよ」

取り出したのは目の細かいふるいで、Aちゃんはそこにココアパウダーを入れ、トントンと叩いた

「うわぁぁ!ココアの雪だぁ!」

目を輝かせるベポに、嬉しそうに笑うAちゃん。
ココアパウダーをかけ終えると、キラリと光る金箔がそっと乗せられた


「さ、お待たせしました、"ティラミス"です」


よく磨きあげられたシルバーのフォークを差し出され、早速それで見るだけでも旨いってことがわかるティラミスを一口分フォークに乗せ、口に運ぶ。

「ん、んんんん〜!?」

「美味しい!これメチャクチャ美味しいよ!!」

「んふふ、ありがとうございます」

「キャプテンがティラミスは苦いって言ってたけど、これ、そんなに苦くない!」

「ああ……でも甘過ぎるわけでもねぇし…ちゃんと珈琲の味だってガツンと来てる…」


スポンジも、普通のスポンジじゃなくて、今まで食べたことの無い食感。

「Aちゃん…メチャクチャ美味しいよこれ」

「じつはチーズクリームにキャラメルを混ぜてみたんです。スポンジの代わりにビスキュイを敷いて、甘味をプラスしつつ、珈琲はウォータードリップで香りを引き立ててみました」


正直難しいことはよくわからないが、とびっきり嬉しそうに笑みを浮かべるAちゃんに、思わず口元がだらしなく緩んだ








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作者名:かなで x他1人 | 作成日時:2019年10月3日 21時

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