30:好物 ページ31
「え、キャプテンの好物？ん〜〜〜」
首を捻るペンギンさんとシャチさん。そしてデカイ白熊。
めっちゃもふもふ。めっちゃ可愛い。
多分この船のマスコット的な何かなんだろうなと思いながらも、彼を見ていると熊鍋の味を想像してしまっていけない。
……でもまぁ、食糧難になれば有り難く頂こう。マスコットが非常食を兼ねてるなんて素晴らしい。
「やっぱ魚介系じゃね？」
「確かに、あ、おにぎりは好きだな、けど梅干しはダメだ」
「……ことごとく変わった好き嫌いですね」
おにぎりにしなくてよかったと密かにホッとしたが、どうもこれと言ってピンとくる好物が上がらない。
「おにぎりはもう試しました。……玉砕でしたが」
「えぇ〜？めちゃくちゃうめぇけどな…」
「キャプテン口数少ないからなぁ、口に出さねぇだけじゃね？」
「……思わず『旨い』と言わせる料理……」
もぐもぐと漬けマグロおにぎりを頬張る三人と、うんうん唸る私。
勿論、次の島に着けば間髪入れずに逃げ出してやるつもりだが、その前にアイツに必ず"旨い"と言わせてやる。
シャチさんによれば、次の島まで後3日程。
食料は充分、勿論三食の献立も考えてある。
「あ、ここはシンプルに"焼き魚"なんてどうかな？」
「"焼き魚"……。
……、成る程、やってみる価値はありそうですね」
一つのアイデアが頭のなかに浮かぶ。
米を主食としている人間ならば、思わずニヤケてしまうような、そんな料理。
「ありがとうございます、３人とも。今日の夕飯はどうぞ楽しみにしておいてください」
そう言ってから、私はとりあえず今日の夕飯の仕込みと、昼食の準備にとりかかることとした。
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作者名：かなで x他1人 | 作成日時：2019年10月3日 21時
