検索窓
今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:90,990 hit

29:態度 ページ30

またもや返事を待たずに部屋に押し入ってきたソイツは、テーブルに皿を広げた。

3つのお握りと、浅漬けのキュウリ。


「……朝食です。どうぞ」


垂れた前髪の隙間から、ふと琥珀色の瞳が覗く。
その視線に寒気を感じながら、おにぎりに手を伸ばした。

「!……漬けマグロか、」

「えぇ、醤油にみりん、山葵を混ぜて一晩漬け込みました」


黙々とおにぎりを食べる間、Aはそわそわと落ち着きがなく、時折俺の顔色を伺うかのような視線を寄越してくる。

「……何だ」

「っいや、何も」

ふいと視線を反らしたAは腕を組んだまま本棚に寄りかかり、そしてまたチラリと俺を見た。

居心地は限り無く悪いが、おにぎりはただただ旨い。

早々に皿を綺麗にすれば、少し満足気なAが、持っていたトレーに皿を引き上げた


「おい」

「っはい、」

「……言いてぇことがあるなら言え」


ビシリと固まったAは、次の瞬間大きく口を開けて、そして閉じ、ギリィッと歯を鳴らした。

……何なんだ一体。

かと思えば悔しそうな表情を浮かべて一言。


「……クッソ、絶対に負けねぇ…!」




「何なんだテメェは」



そう呟いた頃には、すでに部屋の扉は閉まっていた。







30:好物→←28:おにぎり



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かなで x他1人 | 作成日時:2019年10月3日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。